定期的に開かれた会合で、女性社員に囲まれる港浩一元社長(フジテレビ公式YouTubeチャンネルより)
定期的に開かれた会合で、女性社員に囲まれる港浩一元社長(フジテレビ公式YouTubeチャンネルより)
【写真】女性10数人をはべらせてニヤケ顔… 港元社長の不適切会合の様子

 着々と再生の道を歩み始めたように見えるフジテレビだが、テレビ業界関係者には今回の検証番組はどのように映ったのか。かつてテレビ朝日に勤め、現在はフリーのプロデューサーの鎮目博道さんに聞いてみた。

「港元社長や大多元専務の女性社員に対する対応などは、本人にインタビューを行ったりと、しっかりとした取材が行われているように見えました。しかし、番組で取り上げられた問題点は、基本的に外部の調査委員会がまとめた報告内容とほぼ同じ。フジテレビ社内の人間が調べたからこそ発覚した新事実などは出てこず、内容的には物足りなく感じました。

 また、改革を行うと宣言していますが、コンプライアンス研修をしますとか、社員教育を徹底しますなど、通り一遍な対応ばかりで具体的な改善案を示せてはいなかったと思います」

 鎮目さんは、今回の検証番組がスポンサーと株主向けの幕引き番組にも見えたという。

社員のオンカジ問題は取り上げられず

問題に向き合い、ガバナンスを正常化したので安心してCMを出稿してくださいと言っているようでしたね。この検証番組を、視聴者はもちろんフジテレビと一緒に仕事をしている外部の制作会社やフリーのスタッフが見た際にも、フジテレビに安心感を抱けるような番組に構成されていればよかったと思います」(鎮目さん、以下同)

 トラブルとは別に、6月23日、フジテレビのバラエティー番組『ぽかぽか』で総合演出を担当していた社員がオンラインカジノで常習的に賭博行為をしていたとして逮捕。翌24日には、同番組にレギュラー出演していた山本賢太アナが書類送検されるなど、トラブルが尽きない。

「タイミング的にも検証番組内で、このオンカジ問題も取り上げるべきでした。結局、中途半端な検証で終わらせてしまっては、また新しいトラブルが発覚した際、さらに信頼を失ってしまうのではないでしょうか」

 不十分とも指摘されたフジテレビの改革。実際、フジテレビで働く社員たちからも“何も変わっていない”というこんな声が聞こえてきた。

「局全体でコンプライアンス確保や人権尊重を掲げているのですから、7月の人事異動では、これまでパワハラやセクハラ的な言動が目立った人は一挙に左遷されると思っていたのですが、実際はそんなこともなく。局内では“なんであの人が異動しないんだ”という意見が複数出ています」