ちなみに、ハンディファンを落とした場合、バッテリーが破損していたら火災の危険性があることも留意したい。

避難所に行くことだけが“避難”ではない

 熱中症の危険度の目安として、湿度や日射、気温などをもとに計算した暑さ指数を確認しておこう。

環境省の熱中症予防情報サイトで最新の熱中症警戒アラートの発表状況や暑さ指数を確認し、日中の暑さ対策の参考にしてください。午後には翌日の情報も出るので、天気予報とあわせて確認することで、より効果的な対策が可能です

 暑さ指数が28以上で激しい運動は中止で、31以上では運動は原則中止が推奨される。暑さ指数33以上では熱中症の危険度が極めて高く、このようなときは熱中症警戒アラートが発表される。

 もし、熱中症かもという症状が出たら無理せず対処を。

めまいや筋肉痛だけでなく、ちょっとした気分の悪さや不快感も熱中症の可能性があります。暑い日に不調を感じたら、涼しい場所で水分をとり、休息を

 豪雨などの災害に遭った場合、避難所に行くことを想像する人が多いかもしれないが、避難所に行くことだけが“避難”ではない。

自宅が危険ではなく、備蓄が十分ある場合は、自宅にとどまる在宅避難がよいでしょう。プライバシーが守られ、感染症の危険性が低く、寒さ・暑さ対策をしやすいです

 災害時、気にしてほしいのはトイレの問題。

トイレは食事と同様に切実です。トイレが使えなくなることも想定し、非常用トイレの使い方を知っておいてください。災害時は1人1日5回のトイレ使用を目安に、まとめて買える袋や凝固剤などの非常用トイレセットを用意しておきましょう。

 庭に穴を掘るなどはやめてください。衛生上の問題があり、すぐに汚物だらけになって大変なことに。環境にも影響します」

 異常気象が常態化する昨今。まずは日常的に、雲の変化や気象情報をこまめにチェックし、家族で避難について話し合っておくことが大切だと荒木さん。空を見上げたとき、その雲が私たちに何を告げているのか知っておこう。

こんな雲が現れたら注意!

積乱雲の雲の底から垂れ下がるような見た目の“漏斗雲”。地面に達すると竜巻に
積乱雲の雲の底から垂れ下がるような見た目の“漏斗雲”。地面に達すると竜巻に
【写真】漏斗雲やアーククラウド……こんな雲が現れたら注意!
限界まで発達した積乱雲の上部が横に広がった“かなとこ雲”
限界まで発達した積乱雲の上部が横に広がった“かなとこ雲”
ロール状の雲で、積乱雲本体から離れている“アーククラウド”。通過時に突風が吹くかなとこ雲などの底にできるコブ状の雲の“乳房雲”
ロール状の雲で、積乱雲本体から離れている“アーククラウド”。通過時に突風が吹くかなとこ雲などの底にできるコブ状の雲の“乳房雲”
荒木健太郎著『すごすぎる天気の図鑑防災の超図鑑』(KADOKAWA)

荒木健太郎さん 研究者・気象庁気象研究所主任研究官・博士(学術)。専門は雲科学、気象学で、気象災害をもたらす雲のしくみの研究に取り組んでいる。映画『天気の子』などの気象監修も手がけるほか、テレビなどの出演も多数。