実は『毎度~』のオーディションには、こんな秘話がある。
「中学の制服のセーラー服で来るようにと伝えたら、美穂は白いマニキュアを塗ってオーディション会場にやってきたんです。不良っぽいから落とせと言ったんですが、除光液が手に入らない。爪を隠すようにと注意したのに、美穂は堂々と面接に臨みました」
幸か不幸かそのマニキュアがプロデューサーたちの目に留まり、役を射止める。
白いマニキュアをつけてオーディションに臨んだのは確信犯のなせる業なのか。彼女が亡くなった今となっては、もはや謎に包まれたままである。
ドラマが社会現象になるほどヒットすると、多くのレコード会社から歌手デビューのオファーが舞い込んだ。
デビュー曲『C』をめぐって一波乱
デビュー曲『C』の作詞は、松田聖子などのヒット曲を数多く手がける松本隆氏にすんなりと決まった。ところが作曲をめぐって一波乱起きた。
当初は、ある大物作曲家に曲作りを依頼していた。ところが上がってきた曲を何度聴いても、山中氏はしっくりこなかった。
「初めて耳にしたのは『明星』の海外ロケでグアムに向かう飛行機の中。ちょっとテンポとイメージが違う。美穂も“うーん?”と言って首をひねっていました」
帰国した山中氏は、すぐさまレコード会社に電話を入れ、
「もう一曲作り直していただけませんか」
と訴え、了承を得ると希代のヒットメーカーである筒美京平さんに書いてもらいたいと、深々と頭を下げた。
期待に応えて筒美は1週間で曲を書き上げる。山中氏の狙いはズバリと当たった。「松本隆×筒美京平」によるヒット曲の誕生である。