
2026年3月に開催される、野球の国際大会『第6回ワールド・ベースボール・クラシック(以下WBC)』をめぐって大論争が起きている。
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平投手(31)を中心に、2023年大会を制した日本代表チーム「侍ジャパン」の試合を含める全47試合の独占放映権を、アメリカの大手動画配信会社『ネットフリックス』が獲得したというのだ。
つまりは現状、NHKや各民放での地上波放送はおろか、NHK-BSでの衛生放送でも視聴できないことから、WBCを観たいのならば最安値で「月額890円」(2025年8月27日時点)プランに加入する必要が生じるわけだ。
主催のワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)によって、前大会の30億円から5倍となる150億円に引き上げられたとされる放映権料。オリンピックが夏季冬季2大会合わせて440億円だけに、1競技の国際大会としては莫大な金額だ。
それでもWBC2023決勝戦でアメリカ代表チームに勝利した瞬間の視聴率は46%、国内で5000万人以上が釘付けになったが、これをネットフリックス利用料の900円で換算すると450億円。放映権料150億円を楽に“ペイ”できるとの算段なのだろう。
片や、アメリカ国内では“無料”でテレビ観戦できるWBC。しかもNPB(日本野球機構)や関係各所を通すことなく、ネットフリックスに売り渡されたところを見るや、WBCIは「野球大好きな日本人は900円を払ってでも見る」とタカを括ったような、他国よりも高いWBCへの関心度を狙い撃ちされた格好だ。
ネトフリ利用者とWBC視聴者の世代
しかしながらWBCI、ネットフリックスの思惑が外れる、いや、それどころか“大爆死”の可能性もあるようだ。スポーツマーケティングに詳しい広告代理店・営業担当者の話。
「ネットフリックスの利用者層は、“テレビを見ない世代”でもある20代がメインで、続いて30代、40代が多数を占めているとされます。スマホ普及率に比例するように50代、60代、それ以上の年代も劇的に伸びてはいますが、それでも全体の2割にも届いていないのが現実と聞きます。
そして肝心のWBC視聴者層ですが、2023年大会では70代以上の高齢世代が最も多く、60代、50代と若くなるにつれて減少して20代や10代では“興味すらない”と。つまりネットフリックス利用者とWBC視聴者の世代は反比例しているのです。
特に、テレビで“無料”視聴できたものが“有料”になることへの抵抗、さらに動画配信サービスの契約手続きやアカウント登録にも煩わしさを覚えるもので、ならばリアルタイムで視聴するのではなく、ニュースでいいか、となりかねません」