モデルの冨永愛やアルピニストの野口健が釧路湿原のメガソーラーに異を唱えるなど、野山にパネルを敷き詰めての太陽光発電は、「自然を壊すもの」として昨今反対運動が盛り上がり、SNS上でも「反メガソーラー」派の声は日に日に強まっている。

『伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会』の代表として反対運動を主導してきた田久保市長だが、改めてこの経歴を強調し、このムーブメントに「乗っかろう」としているかのような投稿を繰り返している。

 Xの田久保市長公式アカウントでは、7月下旬以降メガソーラーについての言及が目立ち始め、8月16日には「騒動の全容がやっと見えてきました」などと突然思わせぶりな投稿。

 そして、8月20日には、《前市長は事業者と秘密裏に確約書を結んだ後、2023年の1月(*)に宅地造成許可の変更申請を認めて事業を前進させています。》とまるで小野達也前市長がメガソーラー計画を裏で進めている、かのような投稿も。

 *その後「2022年の7月」と訂正。

 小野前市長は田久保市長が今年の市長選で破った「因縁の相手」。

 しかし、「確約書」というのは、小野前市長が地元テレビなどの取材に応じたところによると、詳細は割愛するが、メガソーラー事業者からの提訴に万一伊東市が敗訴し、さらに損害賠償を求められた場合、市の支払いを最小限にとどめるためのものだったという(ただし係争中の相手と接触したことについては小野前市長は陳謝している)。

「そもそもメガソーラー建設を防ぐ条例も小野前市長の任期中に可決されています。また小野前市長が宅造の変更申請を認めたことについては、この計画の行政手続きに県の副知事として関与した静岡市の難波喬司市長が“これは条件が整ったら出さざるを得ないもの”と会見で説明しているのです」(エネルギー業界紙記者)

 つまり伊東のメガソーラー建設は「ほぼほぼ終わった問題」で市長がこの問題が続いているかのように見せていることに対し、地元局のテレビ静岡などは「暴かれた田久保市長の“扇動”」とYouTubeの動画タイトルで過激な表現を使う有様。

「日本に太陽光発電が増えたのは、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故を契機に、エネルギー政策が見直され、再生可能エネルギーが推進されたことがもともとの理由ですが、中にはメガソーラーの広がりを“外国勢力の陰謀”と断定する人々もいます。また再生可能エネルギー普及より原発再稼働を唱える人々からもメガソーラーは評判が悪いですね」(前出・エネルギー業界紙記者)

 とにかく一定の層から嫌悪されているメガソーラーだが、田久保市長を「メガソーラー利権と戦っている」と評価し、SNS上では「田久保がんばれ」などと投稿する人もいる。

 そのような動きを利用するよりも、まずは学歴についての説明責任を果たすことからではないだろうか。