野田洋次郎の提案
視聴者の中には、「最初からこっちでいけばよかったのに」と言う声も上がったが……。これは初めから製作者サイドの戦略だったのかと思ったら、そうではなく、
「倉崎憲チーフ・プロデューサーが明らかにしていましたが、これはRADWIMPSのボーカル・野田洋次郎さんからの提案だったそうです。野田さんは台本だけでなく、やなせさん関連の資料も読み漁ったそうで、ドラマが伝えたいテーマの実に深いところまで考えていたことが分かります。改めて感心させられました」(テレビ誌ライター)
“クリエイター”としての野田に感服するが、こんな秀作を作り出すNHKのドラマ制作の力量にも驚かされた、と話すのはベテラン映画ライター。
「これまでは、ドラマといえば民放でした。しかし、NHKのドラマ作りのセンスは昔から定評があり、それに攻めの姿勢が加わったことにより、近年は次から次へと名作品を生んでいます。いまや“ドラマのNHK”の名をほしいままにしていると言ってもいいでしょう」
視聴者の心に深い感動を刻んだ『あんぱん』は、ジャンルを超えてドラマ史に残る名作と誰もが認めるのではないか――。