RADWIMPS主題歌の感動歌詞
そして、さらに視聴者を驚かせたのが、最終回で流れた主題歌だった。毎日聞きなれたはずの主題歌だったが、この日は違っていた。いつも耳にしているロック調の曲ではなく、オーケストラの演奏によるバラード調の曲が流れ、しかも“二番”の歌詞。
『あんぱん』の主題歌は、人気バンド・RADWIMPSが担当した『賜物』。同ドラマで、最初に“物言い”がついたのが、ミュージックビデオのようなオープニング映像とタイトルバックに流れる主題歌だった。「ドラマに合ってない」という声が圧倒的に多かったが、ほかにも年配の視聴者からは、「歌詞が何と言っているのかも、意味も解らない」という声が上がり、視聴者が何か違和感を感じていたのは確かだ。
当時、NHKの関係者は「毎日耳にする曲なので、そのうち馴染んでくると思いますし、字幕が出るテレビも多くなりましたので、歌詞もわかると思いますから、そんなに心配はしておりません」と、語っていたが、視聴者の抱く違和感はすぐには解消されることはなかった。
ところが、ドラマが進むにつれ、歌詞の持つ意味とドラマが徐々に融合していき、そして最終回。曲が流れ出して、最後の1分間ちょっとは音が大きくなり、字幕では《時が来れば お返しする命 この借り物を 我が物顔で僕ら 愛でてみたり 諦めてみだりに》と歌詞が表示された。
ラストシーン、並木の木漏れ日の中を背を向けて嵩とのぶが会話を交わしながら、歩みを進めると、再度、歌詞が表示された。
《あわよくばもう『いらない、あげる』なんて呆れて 笑われるくらいの 命を生きよう 君と生きよう》
視聴者は、感動の渦に巻き込まれたのだった。