ちょっと深掘りQ&A

・ケース1 正社員で現役、高収入でももらえる?

 今回の改正により、「遺族厚生年金を受け取れるのは、遺族の年収850万円未満」という所得制限が撤廃されます。そのため、共働きで高収入の人でも、配偶者の死後、遺族厚生年金を受け取れるようになります。

・ケース2 夫が会社を辞めた後に死亡したら?

 厚生年金加入中の病気・ケガが原因で5年以内に死亡した場合も遺族厚生年金の支給対象となります。また、夫が老齢厚生年金の受給権者または資格期間を満たしていれば、退職後でも遺族厚生年金を受け取れます。

・ケース3 独身の子が亡くなったら親はもらえる?

 亡くなった方に配偶者や子など優先順位の高い人がいない場合は、遺族厚生年金がもらえる可能性があります。ただし、死亡した子によって生計が維持されていたこと、親の年齢が55歳以上であることが条件です。なお、受給開始は60歳からです。

・ケース4 保険料の未納があるともらえない?

 遺族年金をもらうには、保険料の納付要件を満たしていることが必要です。死亡日の前日時点で、国民年金加入期間の3分の2以上が納付済みか免除期間であることが原則です。ただし、2036年3月末日までは、特例により直近1年間に未納がなければ受給可能です。

教えてくれたのは 佐藤敦規(さとうあつのり)さん
社会保険労務士。社会保険や年金について、講演や執筆活動を通じて発信。『60分でわかる! 年収の壁 超入門』『図解即戦力 定年前後のお金と手続きがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(共に技術評論社、共同監修)など

取材・文/鷺島鈴香