
成人の5人に1人が慢性腎臓病と推定されている日本。特に、腎機能低下を引き起こす糖尿病や高血圧の患者の増加がその理由といわれています。腎機能を高める食材を使ったスープで今から健康生活を始めてみて!
腎機能は、一度落ちても食事次第で復活できる!
水分や老廃物の排出や調整、ホルモン分泌を担っている大事な臓器、腎臓。
「高血糖や高血圧などの生活習慣病で腎機能が低下して慢性腎臓病になると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がり、悪化すれば週に3~4回、人工透析が必要になります」
そう教えてくれたのは、東北大学名誉教授で腎臓専門医の上月正博先生。
「今まで腎臓は、一度機能が落ちると回復しないといわれてきましたが、最近では生活習慣で改善することがわかってきました。
腎臓を守る食事法は難しくもありますが、おすすめは、水に溶けだす栄養素もとれ、手軽に作りやすいスープです。特に腎機能を高め、衰えた腎臓を“若返らせる食材”を取り入れるとより効果的です」
今回は、腎臓を守る働きのある「トマト」や「ブロッコリー」と、腎臓にとって重要な血管を健康に保つオメガ3脂肪酸を含む「さば」缶を使ったスープをご紹介します。
「このような食材を毎日バランスよくとれば、改善が期待できます。医師から腎臓の機能が弱っていますと言われたらぜひ“腎臓若返りスープ”を作って飲んでください」
トマトとさばの辛みそスープ
血管を若返らせるトマト×オメガ3脂肪酸を含むさば

材料と作り方(2人分)
(1)トマト1/2個(100g)はざく切りにする。
(2)鍋にコチュジャン小さじ1/2、すりおろしにんにく5g、ごま油小さじ1を入れて中火で熱し、(1)、さばの水煮缶1/2個(塩分不使用)を汁ごと加え、ほぐしながら炒める。
(3)水300ml、めんつゆ大さじ3/4(2倍濃縮)を加えてふたをし、煮立ったら弱火で2分煮る。
※さば缶はメーカーによって違うので、塩分不使用のものを使ってください。
トマトとブロッコリーのだしスープ
腎臓の細胞を守る抗酸化作用が抜群!

材料と作り方(2人分)
(1)鍋にオリーブオイル大さじ1/2を中火で熱し、ブロッコリー小房4個を入れてさっと炒める。
(2)ミニトマト6個、水300ml、顆粒和風だしと顆粒鶏ガラスープの素各小さじ1/2を加えてふたをし、煮立ったら弱火で2分ほど煮る。
(3)器に盛り、粉チーズ小さじ1、乾燥ハーブ適量をふる。
《POINT》乾燥ハーブは家庭にあるものでOKですが、複数のハーブがミックスされたものならより風味が増します。

教えてくれたのは……上月正博先生●医学博士。東北大学名誉教授。山形県立保健医療大学理事長。日本腎臓リハビリテーション学会理事長、国際腎臓リハビリテーション学会理事長などを歴任。2022年に日本腎臓財団功労賞を受賞。著書・監修書多数。
上月医師の新刊が好評発売中!
腎臓の機能を高めて人工透析を回避するために世界的名医が考案したスープのレシピ本です。役に立つ65レシピを収録!
◆著者である上月医師からのメッセージ◆
腎臓病のためのレシピ本は数多くあります。ただ、ページを開くと計算式だらけ。複雑すぎて何がなんだかわからないと思います。そこで、計算する必要のない食事法を考案しました。その柱になるのがスープです。腎臓病の食事療法にトライしたけど挫折してしまった人や、医師から「食事に気をつけて」と言われたけどまだ何もできていない人にぜひこの本を役立ててほしいと思います。
『腎臓を若返らせる名医のスープ』上月正博 著 定価:1500円+税