山岸氏は西田さんとの忘れられないエピソードを話してくれた。
「いつだったか西田さんが“銀座の高級クラブに行ってみよう”と誘ってくれて、当時有名だった“姫”という店に行くことになったのですが、西田さんは店の場所を知らなくて迷ってしまい(笑)。結局、別の高そうな店で飲むことになって、酒を頼む際に西田さんが“ダルマで”と注文をして……」(山岸氏、以下同)
ダルマとは“サントリーオールド”の愛称。いわゆる庶民的な酒の代表格だ。
「銀座だけあって、普通の酒が置いていなくて。店の人がわざわざ買いに行ったんです(笑)。本当に飾らない人なんですよ」
明るい開けた場所に写真を展示
山岸氏が最後に西田さんと会ったのは2023年。遺影にも使われた写真の撮影だったという。
「撮影中、西田さんはBGMでフラメンコ・ギターバンドの『ジプシー・キングス』を流していました。西田さんは昔から、撮影の合間にも明るく激しめな音楽を流して気持ちを上げていましたね」
山岸氏は現在、東京のJR品川駅港南口近くにある「キヤノンギャラリー」にて西田さんの写真展を開催している。
「明るい開けた場所に西田さんの写真を展示しています。薄暗い部屋に飾ってライトを当てるような“偲ぶ会”みたいな展示はしたくなかった。きっと西田さん本人もそう望んでいると思います」
たくさんの人の心の中で、西田さんは今も生き続けているに違いない─。