父子2人の生活に暗雲
家族4人の暮らしは長くは続かなかったという。別の男性住民が振り返る。
「母親が幼い妹を背負って家を出ていってしまったのです。残された父子2人の生活が始まると、自宅前には息子の友だちや女の子がたむろしてバイクをいじったりするようになり、やがて父方の祖母が一緒に暮らすようになりました。その祖母も認知症を患って施設に入ってしまい、また父子だけの生活に逆戻りしたんです」
父親は毎日、作業着姿でマイカー出勤。容疑者は高校卒業後、新聞配達の仕事を続けていたが、いつの間にか辞めていた。
「父親は建築業に従事していました。ガッチリ体型で無精ヒゲをたくわえ、時代劇俳優のような迫力がありました。息子さんはちょっと怖いというか、近寄りがたいオーラを発していましたね。
親子仲は良好ではなかったと思います。父子で外食や旅行などに出かける様子はありませんでしたし、そもそもツーショットすら見たことがないんですから」(地元住民)
知人男性によると、上野容疑者は性格的に神経質な部分があるという。友人らも仲間の家の前にたむろする年齢ではなくなり、ストレス発散ができなくなった。父子は税金を滞納したのか自宅は市に差し押さえられ、昨年9月に売却されて家賃を払って暮らすようになっていた。
祖母の施設利用料も未納だったようで、たびたび施設関係者が自宅を訪問するなど家計は苦しかったとみられる。父親の知人男性はこう話す。
「父親はお酒が好きで人当たりのいい好人物です。息子さんが20代のころ、インターネットで知り合った当時10代の女性と自宅で同棲を始めたんですが、受け入れました。父親は“息子の嫁は働かずに家でゲームばかりして、炊事、掃除、洗濯が何にもできないんだよ”とグチっていましたがね。洗濯機をまわすだけで洗濯物を干さないって。
結局、2年ほどで“嫁さん”は家を出ていきました。家を出ていった奥さんとも決着がついていなかったようで“裁判をするんだ”と渋い顔をしていました。父親は昨年体調を崩してから仕事を休みがちになり、“身体がだるくて時々めまいがするんだ。病院で検査しても原因がわからない”と不安そうに話していまたんです。息子さんの悪口は一度も聞いたことがありません」
“親の心、子知らず”とはこのことだろう。父子間の溝は埋め難かったのか、自宅にパトカーが駆けつける騒ぎが何度かあったという。
「最近では、父親と息子さんの間で何か揉めたようで口論し、警察があいだに入っていさめている感じでした」(前出の地元住民)
口論の理由はわからないという。ただ、ここしばらく、父親が出勤に使う乗用車が停めっぱなしになったため、「旅行にでも行ったのかな」と思った住民もいた。
自宅玄関前にはバイクや車の工具箱がほっぽらかしにされ、周囲の草木は伸びっぱなしだった。だれが供えたのか、玄関脇に缶ビールが1本供えられていた。











