宝塚から離れたからこその“気づき”

 在団中から、ダンサーとして評価が高かった2人。『マイ フレンド ジキル』では語りとダンスを回替わりで担当し、2人でデュエットの場面もある。ダンサーとしてお互いをどう見ている?

湖月 ちえは幼いころからバレエで培った技術とバネ、その身体能力に経験を積むことで表現力が加わっていて、すごいダンサーだと思う。

 自身のコンサート『REON JACK』でも毎回いろいろなジャンルのダンスに挑戦していて。どこまで自分を追い込むんだろう、って。ダンスで夢を見させてくれますね。そこに至るまでの努力は並大抵のものじゃないと思うので、本当に尊敬してます。

柚希 わたるさんのダンスは深いというか……、どんなダンスを踊ってもすべてに“芯”があるんですよ。お芝居も歌も含めてなんですけど、深みがあって地に足がついているから、舞台に出てきただけで規格外のオーラを感じます。

湖月 私、ダンスも演じることだと思っているんですよ。でも、宝塚を退団するとそこまでダンスと向き合う機会がなかなかなくて。本番で踊るって、舞台が筋トレみたいな感じで(笑)。でも退団するとそういう公演もなかなかないじゃないですか。

 何年か前に下半身がグラグラしてきた時期があって、そのトレーニングはするようになりました。身体が筋力をキープできなくなってきたというか、踊っていて不安なところもあったけれど、土台である下半身がしっかりしていれば大丈夫なんだ、って。地味だけど、年を重ねてくると必要なんですよ。

柚希 そうですよね。私も足裏トレーニングとか、指だけトレーニングというものを最近ようやく、ちゃんとやるようになりました。

宝塚時代の話から、最近出演したお互いの作品まで話が尽きることのない湖月わたる(右)と柚希礼音(左)撮影/矢島泰輔
宝塚時代の話から、最近出演したお互いの作品まで話が尽きることのない湖月わたる(右)と柚希礼音(左)撮影/矢島泰輔
【写真】美しぎる!元星組スター・湖月わたる&柚希礼音の美麗ショット

湖月 私が今のちえの年齢では気がついてなかった。いいことよ、早く気がついたということは。宝塚から離れたからこその気づきだけど、今回のようにちえとデュエットを踊れるのも宝塚ではなかったことだよね。

柚希 ですよね。娘役さんとのデュエットは普通にありますけど、男役同士ではほぼありませんから。

湖月 物語をちえとダンスで紡いでいくってどうなるんだろう、と楽しみで。お互いの駆け引きというか、身体や目で会話して伝え合い、湧き出てくる感情で触れ合える瞬間がたくさんあるんじゃないかなと思っているの。

柚希 私も今回の作品でいちばん楽しみにしているのが、デュエットダンスなんです。念願のわたるさんとの2人だけでの舞台。この先、こんなことはもうないかもしれないので、楽しみながらわたるさんから吸収できるものを吸収して、2人で高め合える舞台ができれば、と思っています。

湖月 本当に、こんな素敵な作品で共演できるのは感謝しかないです。楽しみにされているファンの方にも、うれしい驚きというか期待以上に裏切るステージにできるように挑みたいと思います。

『マイフレンドジキル』怪奇小説の金字塔『ジキル博士とハイド氏』をもとにしたダンス演劇。語りとダンスで湖月&柚希の元星組トップペアが魅了する。12月16日~22日まで東京・よみうり大手町ホール、12月27日~29日まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて
『マイフレンドジキル』怪奇小説の金字塔『ジキル博士とハイド氏』をもとにしたダンス演劇。語りとダンスで湖月&柚希の元星組トップペアが魅了する。12月16日~22日まで東京・よみうり大手町ホール、12月27日~29日まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて

『マイ フレンド ジキル』
怪奇小説の金字塔『ジキル博士とハイド氏』をもとにしたダンス演劇。語りとダンスで湖月&柚希の元星組トップペアが魅了する。12月16日~22日まで東京・よみうり大手町ホール、12月27日~29日まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。詳細はhttps://myfriendjekyll2025.com


取材・文/蒔田 稔