相続争いのリスクも避けやすく
シニア世代には保険商品の活用も一つの手だと原田さん。生命保険の機能の一つに、指定代理請求制度というものがある。
「例えば、重い病気や認知症などで本人が意思表示できなくなった場合、通常は保険金や給付金を請求できません。指定代理請求制度とは、こうした場合に備えて、あらかじめ指定した家族などが代わりに請求できる制度のことです。この制度を使えば、本人が動けない状態でも、必要な医療費などをすぐに用意できます」
生命保険各社が提供する個人年金にも、さまざまな商品が増えている。
「生命保険の機能を持たせながら株式や債券、投資信託などの組み合わせから選んで投資する保険があります。収益によって保険金や解約返戻金も増減します。さらに、病気や介護に備えつつ、アメリカ国債を運用して資産形成するものも。つまりは備えと投資を併用するような貯蓄型保険もあります」
こうした生命保険商品には、年利4%を超えるものもあると原田さん。さらに終活としてもほかの資産運用にはないメリットがあるそう。
「シニア世代、遺産相続も課題でしょう。お子さんが複数いる場合の資産の振り分けに関しては、生命保険を活用する方法があります。死亡保険金には非課税枠(500万円×法定相続人の数)があるため、例えば現金1000万円をそのまま相続するより、生命保険に加入して死亡保険金として遺すほうが、相続税の負担を軽減できるのです」
また、受取人を指定できるため、相続争いのリスクも避けやすくなる。
「預金は日々の安心、株式投資は資産の成長、保険は万が一への備え─それぞれに役割があります。一つに偏らず、バランスよく持つことが、長い老後を支える資産づくりの基本です」
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融機関・金融商品の勧誘を目的とするものではありません。掲載金利・条件は2025年11月現在の情報であり、今後変更される可能性があります。投資・保険商品には元本割れや損失のリスクがあります。ご利用の際は各金融機関にご確認ください。
取材・文/千羽ひとみ











