中国では11月14日に公開された劇場版『鬼滅の刃』(公開日投稿の中国最大級SNS「微博」上の公式アカウントより)
中国では11月14日に公開された劇場版『鬼滅の刃』(公開日投稿の中国最大級SNS「微博」上の公式アカウントより)
【写真】《今日上映》中国SNSで大体的に告知された映画『鬼滅の刃』

 カネやファンの熱だけでなく、内容も一因だという。

作品の力が中国政府をねじ伏せた

「『鬼滅』は残酷な描写はありますが、内容的に中国政府にとって不都合な話ではない。体制を転覆させるような話だったり、悪い権力者がいて、それを倒すような物語だと警戒されます。

『鬼滅』は、鬼を退治し、今の人間の体制を守る者たちの物語。これは中国政府側にとって害のある話ではない。それどころか家族愛や忠義心といったものが描かれている。それは中国側が広めたい価値観であり、政府側との親和性が高い内容であると思います」

 今回はまさに文化の強さを見せつけた例だといえる。

「興収という“数字”が中国政府を妥協させ、作品の力がねじ伏せた形になっていると思います。政治が今のような状況になっても、決定的な対立を避ける抑止力のような存在になっている。これがアメリカ映画だったら、ヒーローものでも現実の国際情勢をメタファーにしたり、政治的なものも多いですから」

 悪化しつつある日中関係を今、鬼滅がつなぎ止めている?