「本大会に参加される皆様には、日頃の練習の成果を存分に発揮され、素晴らしいパフォーマンスを披露してくださることを期待しております。(略)そして、このたびのデフリンピックが、多くの人々の心に残る大会になるとともに、これを契機としてデフスポーツへの関心が今以上に高まることを願っております。
終わりに、本大会が、きこえない・きこえにくい人ときこえる人が互いの違いを認め、尊重し合い、そして誰もが個性を生かし、力を発揮できるインクルーシブ社会の実現に寄与することを祈念し、開会式に寄せる言葉といたします」
「東京2025デフリンピック」は今回で100周年
4年に1度開かれる聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」は11月15日、東京都渋谷区の東京体育館で開会式が行われ、開幕した。1924年にパリで第1回大会が開催されており、今回は100周年の記念大会だという。日本では初めての開催となった。
開会式には秋篠宮ご夫妻や次女で、全日本ろうあ連盟非常勤嘱託職員の佳子さま、それに、長男の悠仁さまのご一家4人全員が出席した。秋篠宮さまが冒頭のように挨拶し、最後に、「ありがとう」を意味する国際手話で感謝を伝えた。
全日本ろうあ連盟の石橋大吾理事長は、「手話や身体、表情などで心を通わせ、互いを尊重し合う景色は共生社会の姿そのもの」などと、手話で訴えていた。この大会は、世界81の国・地域などから史上最多、3081人の選手が最終エントリーしたといい、11月26日までの12日間、21競技209種目の熱戦が行われた。
開会式では各国・地域の選手団が入場した後、最後に開催国の日本選手団が、旗手を務める空手女子の小倉涼選手(坂戸ろう学園教)を先頭に入場行進をした。観客席から手をひらひらとさせる手話で拍手が送られると、選手らは手を振るなどして、笑顔で応えていた。
以前、この連載で紹介したように今年10月28日、東京・元赤坂の赤坂御苑で天皇、皇后両陛下が主催する秋の園遊会が行われたが、その際、全日本ろうあ連盟の元理事長と歓談した両陛下は「東京2025デフリンピック」に触れ、「いい大会になるといいですね」「楽しみでございますね。日本で初めての大会ということで記念すべき年になりますね」などと激励していた。
このように、皇室とデフリンピックの関係は深い。報道によれば上皇ご夫妻は、デフリンピックの選手に心を寄せ続けた。宮内庁によると、日本が初めてデフリンピックに参加した1965年の夏季ワシントン大会以降、夏と冬の大会の選手団を何度もお住まいなどに招き、面会してきたという。
こうした姿勢は令和の皇室に受け継がれ、天皇、皇后両陛下は2024年12月、皇居で冬季デフリンピックの入賞者らと面会した。天皇陛下は「努力によって障害を克服し、立派に社会参加を果たしてこられた」と選手らをねぎらったという。
前述のように、秋篠宮ご一家は「東京2025デフリンピック」の開会式に出席し、デフリンピックを家族全員で懸命に応援する姿勢を見せた。11月14日夜、東京都内で行われた日本選手団の結団式には佳子さまが出席した。前出の小倉選手が「感謝の気持ちを結果でお返しできるよう、全力を尽くします」と決意を表明し、佳子さまは手話で、
「皆様がこれまでの努力の成果を存分に発揮できるように応援しています」などと選手たちを励ました。
《(略)記憶の衰えなど高齢に伴う症状は進んでいた。昭和天皇をはじめ三女の鷹司和子さん、実妹の大谷智子さんらが相次いで亡くなったことについても『どれほど現実のことと受け止めておられるか』(宮内庁幹部)という》
















