国民的ロールプレイングゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズには、ゲームバランスを根本から揺るがす“禁断の裏ワザ”が数多く存在した。現在のゲームでは不具合は即座に修正されるが、かつては仕様の隙を突いた“バグ技”が当たり前のように発見され、プレイヤー間で瞬く間に広まっていったのだ。今回は、シリーズ史に残る代表的な裏ワザを振り返り、その異常な威力と当時の衝撃をご紹介したい。
“最高の攻撃力”を誇る剣
ファミコン版『ドラゴンクエストII』では、プレイヤー間で「はかぶさのけん」と呼ばれる異形の武器が誕生した。これは「はやぶさのけん」と「はかいのつるぎ」という本来無関係のふたつの武器が、イベント処理の不具合によって合体したような状態になるバグだ。
「はやぶさのけん」の攻撃は通常攻撃が2回になる武器だが、攻撃力が低いのがネック。一方、「はかいのつるぎ」は装備すると呪われてしまうため、実用的ではないが“最高の攻撃力”を誇る剣。「はかぶさのけん」はその“いいとこ取り”の武器だ。
「『はやぶさのけん』を装備して『はかいのつるぎ』を持った状態でハーゴンの神殿に入ると、ハーゴンの幻術によって、主人公の故郷であるローレシア城の幻を見せられます。幻のローレシア城に入ったら『はかいのけん』を装備し、そこから抜け出すと装備は『はやぶさのけん』に戻っているのですが、『はかいのつるぎ』の数値のままになっているんです。開発者も装備の入れ替えまでは想定していなかったのでしょうが、プレイヤーにとってはうれしい誤算となりました」(ゲームライター、以下同)
また、ファミコン版『ドラゴンクエストIV』には、「8逃げ会心バグ」と呼ばれる裏ワザが存在した。1回の戦闘中に「逃げる」コマンドを8回入力すると、次の攻撃がすべて“会心の一撃”になるというシンプルな現象だ。
「通常戦闘では4回目で確実に逃げられてしまうため、8回逃げ続けられるのはボス戦のみでした。特にラスボス・デスピサロの第一・第二形態は通常攻撃しか行わないため、スクルトで守りを固めつつ逃げることで比較的安全に発動が可能。結果として、第三形態以降の難易度を大きく下げることができました。ただし、逃げ続ける間は一方的に攻撃を受けるリスクもあり、実用性は高いが慎重さも求められました」
















