“はぐれメタル”さえ簡単に仲間に
スーパーファミコン版『ドラクエII』の「マヌーサザラキ」も外せない。「マヌーサ」は敵グループに幻を見せて命中率を下げる呪文で、「ザラキ」は確率に左右されるが、敵グループを一撃死させる呪文。
「マヌーサの効果がかかっている敵には必ずザラキが効くようになっており、その敵にはラスボス・シドーも含まれていました。一撃で倒せるわけではありませんが、『254のダメージ』を与えることができ、強力な裏ワザとなりました」(サブカルライター、以下同)
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の「ひとしこのみ」も有名だ。主人公の道具欄を特定の順番、「ひのきのぼう」「とがったホネ」「しあわせのぼうし」「こんぼう」「のこぎりがたな」「みかわしのふく」、残りは空欄にするだけという極めて簡単な手順で、モンスターが必ず仲間になるという異常な効果が発生する。
「本来なら仲間になる確率はモンスターごとに設定されているのですが、この裏ワザを使うと判定そのものが無効化され、倒した敵が確実に起き上がる。さらに、攻撃がすべて必中かつ会心の一撃となり、戦闘バランスが完全に崩壊する点も見逃せません。仲間になる確率の低い“はぐれメタル”すら簡単に仲間になるため、当時はゲームを大幅にショートカットできる禁断技として広く知られていました」
最後は『ドラゴンクエストVI 幻の大地』の「凍れる時の秘宝」だ。これはアストロンで味方全員を行動不能にした状態で、敵が「凍てつく波動」を使用することで発生する。
「アストロンは味方を鉄の塊にして動けなくし、同時に敵の攻撃をほぼ無効化する効果を持ちますが、凍てつく波動でその効果が解除されると、味方が自由に行動できるにもかかわらず、敵の攻撃は依然として通らないという“完全無敵状態”になります。本作のラスボス・デスタムーアは右手が凍てつく波動を多用するため、条件が揃えばほぼノーダメージで撃破できるという事態が生まれました」
こうした裏ワザ・バグ技は、いずれも当時の技術と仕様の隙を突いた“偶然の産物”である。しかし、驚きとワクワクを与えるゲーム体験として、多くのプレイヤーの記憶に今も深く刻まれている。現代のゲームではまず見られないほど大胆で、時にゲームそのものを変えてしまう裏ワザの数々は、『ドラクエ』シリーズが築いた“もう一つの伝説”と言えるだろう。











