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ー 文句を言う勝男に平謝りする鮎美
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ー “新しい価値観”を問いかけるドラマ

 10月からTBS系列で放送が始まった連続ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が、空前のブームを巻き起こしている。第7話の無料配信再生数は、実に522万回を突破。TBSのドラマ、バラエティーを含む全番組の中で歴代最多を更新した。

文句を言う勝男に平謝りする鮎美

ドラマは谷口菜津子さんの同名コミックが原作で、累計発行部数は40万部を超える人気作品です。竹内涼真さん演じる勝男は、爽やかな風貌ながら、かなりの“亭主関白”気質。その勝男と同棲していた夏帆さん演じる鮎美は、“恋人ファースト”であるがゆえに、自分を見失ってしまう女性。現代の“当たり前”を見直す2人の成長と再生を描いたラブコメです」(テレビ局関係者)

 ドラマウォッチャーの明日菜子さんは、作品の魅力をこのように分析する。

「TBS系で放送されたドラマ『不適切にもほどがある!』など、おじさんが価値観をアップデートしていく物語はいくつかあるのですが、主人公の2人は20代後半から30代前半と若い世代です。この若い世代が価値観をアップデートしていくという設定が斬新でした。勝男は一見、爽やかなイケメンなのに実は亭主関白だったなど、残念なキャラクターを主役に立てるドラマはチャレンジングな企画だと思います。令和の新しい物語といえるのでは

 ドラマでは、鮎美が厚揚げを使った料理やサバのみそ煮など、栄養バランスまで考えられた“完璧”な夕飯を作るシーンがある。対する勝男は「全体的におかずが茶色すぎるかな」と文句を言うのだが、ここで鮎美は平謝りしてしまう。

 なぜ平等なはずのカップルの間で、一方が優位な立場に立ってしまうのか。カウンセラーの松本尚子さんは、自分の両親から“家族・カップルのかたち”が形成されていく場合があると語る。

「例えば、サラリーマンの父親と、専業主婦の母親のもとに生まれた場合、“家事は女性がするもの”という考え方からアップデートしない場合があります。それが当然だと思っていたため、それ以外の考え方があることを知らないし、そもそも関心がない。さらに、相手が気を使ってくれることが心地よくて、そうした関係性を維持してしまうことが起こりがちです」

 離婚理由も、時代が進むにつれて変化が出てきたようだ。

「離婚理由は性格の不一致とよくいわれますが、その背景には家族のイメージや価値観の違いがあることも多いです」(松本さん)