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ー またたたく間に批判が殺到

 

 12月9日、東京都の本会議が行われ、松本明子副知事が都議会に提出された「女性活躍推進条例案」に言及。事業者の取り組み事例を示す指針に「男性管理職への生理痛体験会」を盛り込むと明らかにし、物議を醸している。

またたたく間に批判が殺到

「都が『女性の活躍を推進する条例案』について本格的に検討を始めたのは 2024年7月ごろです。この条例案は、“働く場”において女性が活躍できる環境を整えることを目指すもの。条例案の概要となる基本的な考え方は固まっていますが、制定後にあらためて“指針”を定め、具体的な政策目標などを設定するとしていました」(全国紙政治部記者、以下同)

 この指針について松本副知事は、「今後、男性管理職を対象とした生理痛の体験会等の具体的な事例を指針で示すなど、事業者の取り組みを促していく」と答弁の中で言及。女性特有の悩みへの理解を深めることや、働きやすい環境を作る狙いがあるとし、積極的に進める事業者の支援を強化していく考えを示した。

 しかし、この発言はSNSで瞬く間に拡散。多くの国民の耳に入ると、《生理痛の疑似体験って、本人の意に反した暴行としか思えないんだけど、これって本当にOKなのか...?》《女性ですがこんなん求めていませんよ。理解しようとして下さるのは嬉しいですが》と議論が巻き起こったのだ。

「この生理痛疑似体験は、下腹部にEMS(筋電気刺激)のパッドを装着し、人工的に電流を流すことで子宮収縮のような痛みを再現するものです。これまで企業の研修や自治体のワークショップなどで、男性に向けて体験できる機会が任意で設けられてきました。しかし、条例案として出されるのはかなり異例。驚く声が聞こえてくるのも無理はありません」

 そんな異例とも言える内容には、著名人からも疑問の声が届いている。日本保守党所属の北村晴男議員は、《馬鹿げている。女性の辛さは時折様々な女性から聞いており、それで十分。我々男性にも十分な想像力がある》と強い口調で非難。

 さらに、漫画家でエッセイストの倉田真由美氏もSNSにポストし、《他人の身体に痛みを与える権利など誰にもない。また、痛みを実際に感じなければ他人の痛みが分からないわけでもない。いろいろおかしい》と、女性側としても疑問を呈したのだ。

「現代は多くの企業で、“生理休暇”を設けたり、その休暇の“有給化”や“ウェルネス休暇”と名称を変えて取得しやすくするなど、制度を拡充する動きが出てきています。しかし、その症状には個人差があり、辛さも人それぞれであることも事実。条例案として組み込むことは、時間をかけて議論していく必要がありそうです」

 条例の施行は、来年7月の予定だ。