そもそも親子間のトラブルの元凶は、コミュニケーションのズレが大きい。
「“家族だから”を免罪符に、相手の感情に配慮しない人が一定数いるのです。だから相手の人格や存在を否定したり、一方的な命令を簡単に口にし、自分の価値観を押しつける。しかし、そういった老親の性格はもう変わらないと諦めたほうが生産的です」
自分の気持ちや都合を優先し、勇気をもって断る
昨今は経済面も親子関係を複雑にしていると話す。
「金銭面で余裕がない子ども世代が親からの援助を頼りにしていることも増えています。無条件で子どもに経済的な支援をする親もいますが、ここ10年くらいで“家をあげるから”“遺産をあげるから”と、子どもをお金で操ろうとする親が増えているように感じます。精神面と経済面の両方で親に縛られている子どもは本当に苦しい」
石原さんは特に母娘の関係が難しいと感じている。
「父親は“俺の命令は絶対だ”というような形で比較的わかりやすく支配するので、そこから逃れやすい。でも、母親は物腰柔らかく、子どもが断りづらいような形で頼る賢さがあるから、知らないうちにコントロールされていることがあります。“大変だから、私が支えないと”と、我慢をしてしまう娘も少なくありません」
では、帰省して親に会うのが負担だと感じている場合、どのように対応するのがよいのか。石原さんは、「まずは距離を置くこと」だとアドバイスする。
「帰省して親の相手をしたり、面倒をみるのがつらいなら、その気持ちに正直になりましょう。健全な親子関係であれば、“仕事も重なって疲れているし、年末年始は家でゆっくりして、また別の機会に帰るね”と気兼ねなく言えるはず。それが言いづらいと思う時点で、親に気を使っている関係性だといえます」
帰省しないのは親不孝だと自分を責める必要もない。
「帰省しないと言えば、帰ってきてほしくて“こういう困り事がある”“腰が痛くて”と情に訴えかける親は多い。子どもは自分がなんとかしなければと思いがちですが、それを繰り返してストレスになっているのなら、自分の気持ちや都合を優先し、勇気をもって断ること」
距離を置くだけで、イライラや憂うつな気持ちはグッと減るはずだ。
「“親に変わってほしい”と思いがちですが、うまくいかず苦しくなります。人の考えや行動を変えるのは難しいので、親には期待せず、自分が変わることが大事ですね」











