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ー “替え歌CM”が増加しているワケ

《日本中ぅ〜ヤァーフ、ヤフー!》(西城秀樹『YOUNG MAN』)
《近ごろ私達は〜寄ぉ〜り道 マックにね〜》(PUFFY『これが私の生きる道』)
《飲ぉ〜むぞ、飲むぞ、十六茶!》(アニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』オープニング)

“替え歌CM”が増加しているワケ

 社名や店名、商品名がそれぞれ“入れ込まれている”ため、どこの何のCMかおわかりいただけるだろうが、これらは現在、放送・配信中の“替え歌CM”だ。

「過去の名曲や耳なじみのある人も多い童謡を、替え歌にして使うCMが増える傾向は、これまでも何度もありましたが、今年はまれに見る多さになっていますね」(広告代理店関係者、以下同)

 冒頭以外にも、日清食品「日清中華 汁なし担々麺」(山崎邦正『ヤマザキ一番!』)、ダイハツ(JITTERIN'JINN『プレゼント』)、カレーハウスCoCo壱番屋(細川ふみえ『スキスキスー』)などなど。

“懐かしい”と歓迎する声もあるが、SNSなどを見ていると、嫌悪感を覚える人も多数。

《替え歌CMって容易に他人のふんどし使ってて嫌い》
《最近のCM、替え歌多すぎてイライラ。クソ面白くもない、しょーもない》
《既存の曲を替え歌にしてCMに使うの、ものすごく嫌い。親の敵ほど嫌い。メロディーだけならまだいいが、CM向けの歌詞とか許されない》

「替え歌が多用される理由は、まず既存の名曲を使うことによる印象の残りやすさ。そこに商品名などを歌詞で入れることで、さらに印象に残ることを期待してのもの。事実、『CM好感度ランキング』という企画で替え歌系が上位に入ったこともあります」

 替え歌にすることでコミカルさも生じ、結果的に親しまれやすさを与える。

「名曲の替え歌に一定の効果があることから、安易にインパクトを残そうとする。そこに“人気タレント”を加える形は、ある意味“広告”として王道とはいえますが、最も安易ともいえる。

 広瀬すずさんと宮﨑あおいさんを起用し、PUFFYの替え歌のマクドナルド。新垣結衣さんが出演し、あのさんに『アラレちゃん』の替え歌を担当させた十六茶などが最たる例でしょう」

 一方、今年8月、加藤清史郎がビジュアル系バンドのボーカルに扮し、LUNA SEAの楽曲をカバーしたCMはSNSで話題となった。

「ビジュアルの作り込みなどクオリティーが高く、バックバンドも本家公認のコピーバンドメンバーが出演しました。さらにはきちんとLUNA SEAメンバーも企画に関わっている。本家へのリスペクトも段違いだったところが勝因かと。

 ほかの替え歌CMは深く考えずに“今回はこれ使っとくか”と曲の使用料だけ払って、お手軽に歌詞を替えるものも多いので」

 軽々に他人のふんどしで相撲を取る姿勢は、すぐに見透かされる。