とにかく“今生き” 昭和チックな恋愛スタイルが新鮮で懐かしい

 もちろん恋愛リアリティ番組に欠かせない恋愛要素も描かれているのだが、現代においては珍しいほどに、お互いが遠慮することなく気持ちをぶつけ合う様子がかなり新鮮に感じられるのだ。

 近年は交際相手をスペック(条件)で決めたり、結婚することにメリットを感じない若者が増えてきたりと、“恋愛コスパ至上主義”が進んでいる。しかし、本作においてコスパという言葉はまるで無縁。参加者たちが恥ずかしげもなく各々の感情を素直に表現しており、損得感情ではなく本能や直感のままに行動し、お互いの気持ちが交錯していく。

 例えば、女子メンバーのおとさん(22)は、一途に好きな人を追うものの、途中で束縛や嫉妬といった恋愛における負の感情を素直に相手側にぶつける。その様子は見ていて痛々しくも、恋愛において多くの人が経験してきたであろうフラストレーションを思い起こさせ、共感してしまうのだ。

 SNSには「おとさん、確かにちょっと怖いけどあそこまで誰かに自分の想いまっすぐ伝えて、私だけを見てって言えるのすごいなぁ」、「昔の自分を見てるみたいで頭抱える」などの共感の声があった。

 MCであり、番組を企画したMEGUMI(44)は『ラヴ上等』の参加者たちの様子について「今を生きてるんです。“今生き”なんです、この人たち」と語り、ヤンキー特有の情熱と勢いのある恋愛について評価している。

『ラヴ上等』では、スマホやガラケーが無く、直接思いをぶつける必要があった“昭和の恋愛”のような、熱い感情剥き出しの恋愛模様が繰り広げられていることから、若い世代には新鮮に、そして中高年世代には懐かしく映るのではないだろうか。

 視聴者たちからは「人に感情が動かされることも、ぶつかり合う事もめんどうになって、人と関わることが限られるようになったけど、人って、仲間って、恋愛っていいなと久しぶりに思わせてくれた。熱かった」「恋愛に限らず人との向き合い方とか気持ちの変化の仕方とかいろんなパターン見れて勉強になる」などのコメントがあったが、『ラヴ上等』は、恋愛離れが進んでいる令和の時代において忘れがちになっていた、本来あるべき自然な恋愛の形を示したのかもしれない。

(文=瑠璃光丸凪/A4studio)