広島でカキの養殖場を視察した鈴木憲和氏。ノースフェイスのダウンを羽織ったカジュアルな装い(本人公式インスタグラムより)
広島でカキの養殖場を視察した鈴木憲和氏。ノースフェイスのダウンを羽織ったカジュアルな装い(本人公式インスタグラムより)
【写真】小野田紀美氏とは同学年、何やら言葉をかける鈴木農相

 そして気になったのが、「生産者への補償」のあり方について。

 現状、農業経営の安定化を図るため、大幅なコメ価格の下落や、自然災害による収量減少で農業収入が減少した場合に適用される「収入保険」、コメや農作物の収入減少影響緩和交付金である「ナラシ対策」等のセーフティネット対策の措置が講じられている。

 このセーフティネットは「需要に応じた増産」を掲げていた、前農相の小泉進次郎防衛相(44)も議論を重ねていたもので、同氏の理論であれば増産によるコメ価格の下落が生じた際も、生産者である農家の収入も補償されることになる。

「増産」したい生産者への“釘刺し”か

 ところが「増産」には一貫して否定的な立場にいる鈴木農相によると、

「私たちとして初めからですね、この…なんというか、(コメを)たくさん作って米価がどんどん下がった場合に“所得保障すればいいではないか”ということについてはですね、私としては、その立場は取り得ないというふうに考えております」

 つまりは“各自治体、生産者判断での「増産」によるコメ価格の暴落、農業収入が減少した場合にはセーフティネットでの補償適用としない”とも受け取れる、まるで「増産するな」という“農家への釘刺し”にも聞こえるが……。

 最後には「私の方から秋田県知事に何か、ということは全くありません」と、“圧力”問題を受けて以降、自身が県にアクションをかけたことはないとした鈴木農相。農水省のトップとして省の担当者だけでなく、“現場”の言い分も直接聞いてみてはどうか。