すてらはその後、上京して、師となる作家の書生となる。物語は、読者を引きつけるいくつもの仕掛けが用意され、結末へとつながっていく。

たったひとつの好きなことは手放してほしくない

すてらは書けないときもありましたが、書くことを諦めなかった。自分の好きなことを手放さず、ステップアップしていきます。誰にだって好きなことがあると思います。だけど、やむなく諦めてしまう人もいる。でも、たったひとつの好きなことは手放してほしくない。それが伝わるといいなと思います

 この物語には、続編が用意されているという。すてらはどんな木馬に乗って、どのように羽ばたき、どこまで成長するのだろうか。すてらを応援しないわけにはいかない。

最近の原田さん

『あなたは、誰かの大切な人』に収めた短編をもとに、『無用の人』という映画を撮りました。国語の教科書に掲載された短編なのですが、それを読んだ女子高生から“まるで映像を見ているよう”という手紙をもらったことが、監督に挑戦するきっかけになりました。素晴らしいスタッフのおかげで、イメージどおりのものができたと思います。2027年公開予定です。ぜひ見てください

『晴れの日の 木馬たち』 原田マハ 新潮社 税込み2310円
【写真】アート好きは必読!大原美術館が舞台になった原田さんの最新作

取材・文/藤栩典子

原田マハ(はらだ・まは) 1962年、東京都生まれ。森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、2005年『カフーを待ちわびて』で日本ラブストーリー大賞を受賞し、作家デビュー。2012年『楽園のカンヴァス』で山本周五郎賞、2017年『リーチ先生』で新田次郎文学賞を受賞。その他、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『暗幕のゲルニカ』『たゆたえども沈まず』など多数。