悠仁さまが初出席の「歌会始の儀」

皇居・宮殿「松の間」で古式ゆかしく行われた「歌会始の儀」(2026年1月14日)写真/共同通信
皇居・宮殿「松の間」で古式ゆかしく行われた「歌会始の儀」(2026年1月14日)写真/共同通信
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

 '15年1月当時、悠仁さまはお茶の水女子大学附属小学校2年生だった。仕事で遠く離れた両親を思い出し、寂しく感じることもあった年頃ではなかろうか。そんなときには、そばにいてくれる優しい姉、佳子さまに、ついつい甘えてしまったこともあっただろう。そうした悠仁少年も立派に成長し、成年皇族となり、今年の「歌会始の儀」に初めて出席したのだ。

《薄明かり黄昏とんぼは橋のうへ青くつきりと俊敏に飛ぶ》

 宮内庁の説明によると、ある夏のたそがれ時に、赤坂御用地内の橋の上を飛ぶトンボに目を凝らすと、薄明かりの中で青色の模様がはっきりと見え、それがマルタンヤンマだとわかった。御用地内で夕暮れに高いところを飛ぶことの多い、このトンボを間近に見ることができてうれしかった、その思い出を歌に詠んだという。

「歌会始の儀」の選者で山梨県立文学館館長、三枝昻之さんは、初めて出席する悠仁さまの歌に注目していたといい、歌の特徴などについて、次のように解説する。

「虫への関心から、筑波大学で生物学を学び始めた悠仁さまらしいお歌です。薄明かりの黄昏なのに『青くつきりと俊敏に飛ぶ』と、ビジュアルで細かい動きを捉えています。

 今の若い歌人は、ほとんど人事が主題で、自然描写への関心は薄い。しかし、自然描写は自分の心の繊細な表現に生かすことができる大切な領域です。

 今回のお歌では、じっと見つめている作者の姿が歌の背後から見えてきます。自然の中のもろもろの観察の細やかさや大学で生物学を学び始めた、その選択が反映されていると感じます。歌人としての今後の成長が楽しみです」

 また、三枝さんは佳子さまの歌の特徴などについて、次のように説明した。

「子どもたちに焦点を絞って、その健やかな未来を願っている歌です。『明るい未来願う』というつながりでもいいのだけれど、そこに『幸せ』を重ねて『明るい未来幸せ願う』としたところに心からの思いが込められています。

 佳子さまのお歌は、表現の軟らかさに特色があり、それが子どもたちの未来への祝福という主題を生かしていると思います」

 さらに、「歌会始の儀」では愛子さまのこのような歌が披露されている。

《日本語を学ぶラオスの子どもらの明るき声は教室に満つ》

 愛子さまは、昨年11月、初めての外国公式訪問として、日本との外交関係樹立70周年を迎えたラオスを訪問した。

 日本語パートナーズ受け入れ校であるビエンチャン中高一貫校では、現地の中学生と高校生が、日本語や日本文化を学ぶ授業を参観した。その際、生徒たちが明るく元気な声で日本語を発音したり、日本の伝統的な遊びである福笑いに親しんだりするなど、活気に満ちた教室で日本語を楽しく学んでいる様子を見学し、微笑ましく、うれしく思った気持ちを詠んだ、などと宮内庁は説明している。

 三枝さんはこのように、解説している。

「ラオスご訪問時を歌われた歌の特徴は、『教室に満つ』ですね。子どもたちが大きな声で発音している、その響くような明るさが伝わってきます。その元気のよさに感動なさっています。だから、『満つ』が生きています。

 歌としては句切れのないスタイルです。それが、健やかな子どもたちの描写や子どもたちへの感動を効果的に生かしています」

 昨年の愛子さまに続き、今年は19歳の悠仁さまが初めて「歌会始の儀」に参列して大いに話題となったが、皇室行事などに若い皇族が増えることは大変喜ばしいことだと思う。会場もより明るく華やぐようで、今年のお題「明」ではないが、日本や皇室の未来が明るく見えるのではないだろうか。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に2025年4月刊行の『悠仁さま』(講談社)や『秋篠宮』(小学館)など