白紙撤回を受け、隈氏の事務所は予算と施工者の積算額が折り合わない事例は各地であるとしたうえで、《その場合は予算に合うように、建築の仕様等を変更しながら減額し、予算に合わせていく手順を無償で必ず行うようにしています。今回はそのような機会のお声がけがなく、突然の白紙撤回となり、とても不思議に感じています》とコメントを出した。

賛同の声が多数

 その一方で《長期的な維持管理を考えたら止めて良かったと思う》《この人の建築物は木材がボロボロになるからね》《公共施設は使いやすさやメンテナンスが重要。有名な建築家は使わないほうが無難だよ》《建設が始まる前に気付けてよかったよね》《私は英断だと思います》と賛同する声が多く聞かれた。

 実際、隈氏が設計し2000年に開館した栃木県の那珂川町馬頭広重美術館では、建物の老朽化が大きな問題となった。

 地元の杉を使ったルーバー(羽板)で覆われた特徴的なデザインだったのだが、風雨にさらされ腐食が進み改修が必要に。改修設計を隈氏の事務所に依頼したものの、木製ルーバーでは耐用年数が短く費用も高額になると判明。最終的に木目調のアルミ素材で代用し、改修費用は約2.5億円となった。

 北海道八雲町の今回の判断。設計費用の1.9億円をドブに捨てたのか、それとも白紙撤回は英断だったのか。今後を見守りたい。