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ー 練習見てないヤツらにサイン書くか?

 3月27日のセ・パ開幕に向けてオープン戦に臨んでいるプロ野球の各チーム。今年もキャンプ地には多くのファンが訪れたが、必ずしも選手を応援する“ファン”だけとは限らない。選手の好意を踏み躙る転売行為が横行してーー。

 大手フリマアプリ『メルカリ』では現時点でも、選手直筆のサイン色紙やサインボールが大量出品されている。中には本物と証明するためなのだろう、サインを書く選手の様子を隠し撮りしたような画像も添付する、肖像権侵害に抵触しそうな出品も見受けられる。

 また各球団のキャンプ地を“ハシゴ”したのか、同一アカウントによる複数選手の直筆サインの出品も見受けられるなど、やはり“転売”を目的に選手に近づく輩がいるのだろう。

 球団は対策として、公式HPにて転売行為の禁止を何度も呼びかけ、それでも改善されない場合はサイン中止の判断も下している。ファンサービスをしたい気持ちはあれども、列には“転売ヤーも紛れているのではないか”と、選手も疑心暗鬼になってサインを書いているようだ。

 そんな中で一石を投じたのが、2025年シーズンにセ・リーグ最多安打のタイトルを獲得した、中日ドラゴンズの外野手・岡林勇希選手(24)だ。CBCテレビで毎週日曜日に放送される『サンデードラゴンズ』での発言が、ネット上で話題になっているのだ。

 3月1日の放送で、キャンプでの「カメラが捉えたオモシロ映像を大放出」との企画で、練習施設内でスタッフと雑談する岡林選手の姿が捉えられた。

「(外で)並んでるファンたちは何してるの?」

 この日も、大勢のファンがドラゴンズのキャンプ地に足を運んだのだが、施設外で列をなして待つファンに疑問を持った岡林選手。スタッフから「サインを待ってる」と説明されると首を捻り、

練習見てないヤツらにサイン書くか?

『メルカリ』に出品された楽天・前田健太の直筆サインボール。サインする様子も撮影して商品ページに掲載
『メルカリ』に出品された楽天・前田健太の直筆サインボール。サインする様子も撮影して商品ページに掲載

「確かに“(サイン待ちで)押すな”って言って並ばせたけど……。練習見てないヤツらにサイン書くか? ああやって(練習見て)待ってくれてる人に書いた方がよくないですか? 見てくれてるから」

 すると練習終了後、サイン待ちの列に並んでいたファンではなく、見学スペースで選手たちを見守っていたファンに近づき、優先してサインを書いて施設を後にしたのだった。

 本来、プロ野球キャンプはファンサービスがメインではなく、あくまでも練習をする場所であり、そんな練習に励む選手を見学したい、応援したいファンが訪れる場所だ。つまり、サインだけが目当ての“転売ヤー”は練習に見向きもしない、よって施設外で列をなすのは“本物のファン”ではない、と判断したのだろう。

 たしかに“本物のファン”と“転売ヤー”を区別する、岡林選手のド正論とも言える痛快発言だった。

 映像では、見学スペースで岡林選手を見守っていた女性ファンによる「お疲れ様です」との労いの声もあった。選手としても本当は、そんなファンには一人でも多くサインを書いてあげたいのが本音であろう。