それぞれの凹凸を補い円をつくる
公表に踏み切った背景にも、支えとなる存在があった。
「同じ特性のある子どもを育てる家族が発信するSNSや、体験を綴った本やマンガです。うちだけじゃないと思えたことで、本当に励まされました」
ふ〜どさんも「公表することはプラスになると思う」と後押し。診断から3か月後、メディアやSNSを通じて湊くんのことを公表した。
「反響のほとんどは温かいものでした。『実はうちも……』と打ち明けてくれる方もいて。公表したことで、私自身の気持ちも少し軽くなりました」
湊くんは成長とともに、「ママ」「パパ」などの言葉を口にするようになり、少しずつ語彙も増えている。
「同じ年頃の子が流暢におしゃべりをしている姿を見ると、『湊と会話ができたらなぁ』と思うこともあります。でも、スピードはゆっくりでも、彼なりに前に進んでいる。できることが増えていくのは本当にうれしいです」
ゲーム好きなのは父親譲り。感覚過敏があり、粘土やクレヨンは苦手だが、タブレットでのお絵描きは楽しんでいるという。
「赤ちゃんの高い泣き声は苦手なんですが、耳をふさいで逃げるよりも、あやして泣きやませたほうが早いと、彼なりの“攻略法”を見つけたみたいなんです」
家事は主に倉持さんが担うが、朝が弱いため、ゴミ出しと保育園の送りはふ〜どさんの担当。書類関係は倉持さんがサポートするなど、互いの得意不得意を補い合う。外食や家事ヘルパーも取り入れ、無理をしすぎない形を模索している。
「湊の凹凸は大きいけれど、まずは得意分野を伸ばしてあげたい。まだ成長の途中なので、学校や将来のことはその都度考えていけたら。周囲の力も借りながら、家族で凹凸を補い合って、丸い円のようになれたらいいなと思っています」
特性の凹凸は、多かれ少なかれ誰にでもある。自閉スペクトラム症に限らず、発達障害への理解が広がることで、違いを認め合い、支え合える社会に近づいていく。
「孤独を感じている家族が少しでも減ってほしい」。その思いから、倉持さんは自らが執筆するマンガやエッセイを通して発信を続けている。
「児童発達支援士の資格も活かしながら、今後は福祉の分野にも関わっていきたいです。不登校や発達障害などで居場所がないと感じている人も少なくありません。私自身も不登校の時期があり、ゲームに救われました。
eスポーツの仕事に携わっていますが、障害があってもデジタル技術を活用すれば参加できる『eパラスポーツ』の普及にも取り組めたらと思っています」
取材・文/小林賢恵












