その年の2月に世界ランキングで56位となり、年内には松岡修造の46位を超えると期待されていた中での手術だった。
「ケガをしても“絶対に治る”という信念でリハビリに臨んでいました。身体の状態がいいときは誰もが認める素晴らしいプレーをしますし、彼自身も身体さえ万全であれば、という自信もあったと思います。
それに、プロとして自分のパフォーマンスをお客様に見せるからには、ちゃんとしたものを見せたいという意識があるように感じました。プロ中のプロでしたね」(杉山さん、以下同)
今回の引退発表前に錦織から連絡をもらったという。
「身体による技術的な面が理由で引退を決断するだろうと思っていました。ですが、“本当に難しい決断でしたがメンタルがもう持たなくなってしまいました。最後まで頑張れたかなとは思いますが、引退を決断しました”と。テニスは心と身体が元気でないと戦えないと、圭自身も最後に感じたのでしょう」
「もう頑張らなくていいよね」
教え子が現役を退くことになり、杉山さんは現在の胸の内をこう話す。
「世界的にもすごい選手ですし、何よりもテニスの素晴らしさを日本の多くの人に伝えてくれたと思います。私たちからすれば“元気をくれてありがとう”という感じ。
愛が引退するときに“頑張ったね。もう頑張らなくていいよね”と言ったのですが、圭にも同じ言葉を言いたい気持ちなので、圭のことを自分の子どものように思えているなと。今度は選手としてではない関わり方で一緒に何かできたらと思っています」
日本テニス界の歴史を変えた男が、惜しまれつつもラケットを置く。

















