「新設された長嶋茂雄賞は、単に成績の数字だけで決まるMVPやベストナインとは異なり、観客をどれだけ沸かせたかというスター性や記憶に残るプレーが重視される仕組みになっています。選考の基準に『ファンを魅了した』という項目がある以上、数字の上で佐藤が圧倒的であっても、他の選手が選ばれる余地が残されているというわけです」(スポーツ紙記者)
この選考基準の隙間に浮上しているのが巨人の坂本勇人だ。5月13日に福井で行われた広島戦の延長12回、1点を追う場面で左越えに逆転サヨナラ3ランを放ち、史上48人目の通算300本塁打を達成した。巨人の生え抜きの右打者としては長嶋茂雄、原辰徳に次ぐ3人目の快挙であり、この劇的な一発に対して《坂本は長嶋茂雄賞初代受賞者最有力候補だろうな》《長嶋茂雄賞に相応しい》といった声がネット上で沸き上がった。
しかし、佐藤の圧倒的な成績と比較して坂本を推す動きには、《もし坂本が長嶋茂雄賞取るようなことあったら、どうでもいいクソ賞になり下がる》《長嶋茂雄賞なんてマジでどうでもいい。なんの権威もない賞やし、坂本でいいよ。どうぞどうぞ》と不快感を示すファンも少なくない。
巨人の“生え抜き”スターこそ
「不振に苦しむ坂本が放った延長12回の逆転サヨナラ弾は、今シーズンのプロ野球における前半戦最大のハイライトだったのは間違いありません。巨人の功労者であり、長嶋さんの記録を追いかける生え抜きのスターが記念の300号をあの場面で打ったというドラマ性は、まさに賞の趣旨に合致しています。安打数でも長嶋さんの記録に残り16本と迫っており、こちらも抜き去れば大きな話題を呼びそう。しかし、三冠王にひた走るサトテルを差し置いて、打撃成績で圧倒的に劣る坂本が選出された場合、賞そのものの公平性や権威が疑われる事態にもなりかねません」(同前)
他にも、5月20日の中日戦で0対7からの猛追激でサヨナラ弾を放った阪神・森下翔太も候補の一人。
「野球で最も面白いとされる8対7のスコアに代表されるような、劇的なシーソーゲームを指すルーズベルトゲーム。その展開のなかで大逆転の一発を放った森下も十分にファンを魅了したと言えます」(前出・スポーツ紙デスク)
日本シリーズ終了後に開催される選考委員会で、記念すべき第1回の受賞者に誰が選ばれるのか、その結果が賞の格付けを左右することになりそうだ。

















