政治は皇室の方々の人格の尊厳を軽視している

 もちろん、“令和の女性皇族像”を体現しているのは、愛子さまだけではない。

皇籍を離れられた黒田清子さんは、目に見える成果で測れない皇族の仕事において、自らの標準をいくらでも下げてしまえる怖さを実感し、行事に出席するだけに終始しないよう自戒していたと語られました。こうしたご姿勢を踏まえると、現在の女性皇族の方々も、それぞれの形で素晴らしいご活躍をされています。

 佳子内親王殿下はジェンダー平等のメッセージを発信され、現代の価値観を真正面から打ち出されています。また、姉の眞子さんがバッシングされる中でも最後まで味方であり続けるお姿には勇気を感じました。彬子女王殿下は研究者として京都に拠点を持ち、女性皇族の活動の幅を広げておられます。瑶子女王殿下はご自身の難聴を公の場で語られ、同じ境遇の人々に勇気を与えられました。他の女性皇族の方々も皇族というお立場に伴う制約を受け入れながら、ご自身の可能性に挑戦されています」

1月2日に行われた一般参賀では、10名の女性皇族が出席された
1月2日に行われた一般参賀では、10名の女性皇族が出席された
【写真】「場を照らす中心の光」の声が上がった晩餐会での愛子さま

 そんな女性皇族の人生を左右する制度のあり方に関して、次のように指摘する。

「現行のルールでは、女性皇族は結婚されれば民間に入ることになります。小泉内閣の時代に女性天皇や女系天皇を認める報告書が提出されましたが、その後の進展はありません。

 愛子さまは将来天皇になるのか、あるいは一般国民として生活するのかという、まったく異なる未来像に引き裂かれたまま過ごしてこられました。他の方々も未来は不確定です。これは非常に残酷なことです。適齢期を迎えられているにもかかわらず、旧宮家の男系男子の養子縁組についての議論が優先され、女性皇族方の課題を後回しにする政治の姿勢は、皇室の方々の人格の尊厳を軽視していると言わざるを得ません。

 われわれは、政治が歴史や伝統を誤認し、皇室の方々の人格やお気持ちを軽視するような方向に進もうとした際には、しっかりと批判の声を上げるべきだと考えています

高森明勅 國學院大學講師。神道学や日本古代史を専攻し、『天皇「生前退位」の真実』『「女性天皇」の成立』(共に幻冬舎新書)など著書多数