“男系男子”への強いこだわりは皇室の本質を毀損する
養子案の“実現性”に疑問を抱くのは、近代皇室の社会史に詳しい成城大学の森暢平教授だ。
「(2)案は、それを推進する側にも本当に実現できるのか疑っている人もいるのではないでしょうか。自民党の支持基盤である宗教保守の活動が過熱しているため、ある意味“お付き合い”で案を作成したという側面もあります」
新聞記者時代には宮内庁も担当した森教授が、養子案の実現を難しいと考える理由は宮家側にもある。
「陛下自身が『国民の皆さんの理解が得られるもの』と発言するなか、宮家の養子は、本家である天皇家を差し置いて天皇に即位する可能性があります。そうした状況で、三笠宮家や高円宮家にある皇族が“養子を受け入れます”と手を挙げられるとは思えません」
一方で、(1)案について、女性天皇や女系天皇の実現への一里塚とも捉えることができると話す森教授。“男系男子”にこだわる政府には、警鐘を鳴らす。
「これまで、皇室は時代や社会の形を反映してきました。大正期以降、側室制度を廃止し、上皇ご夫妻の結婚は『恋愛』性が強調されるなど、国民に近い家族のあり方を実現することで、『国民と共に』という姿勢を意識されてきたのです。21世紀の社会がこれまで以上に変化する中で、頑なに“男系男子”への強いこだわりを持ち続けることは、国民と共にあるという皇室の本質を毀損する可能性があります」
前出の小田部名誉教授も今後の皇室典範改正について、こう助言する。
「皇室典範は、象徴である天皇や皇室のあり方を定める重要な法律です。一部の政府関係者や有識者だけでなく、国民投票などで広く民意を反映させるべきです。当面は(1)案のみを決定し、ほかは急がず丁寧に議論を重ねるべきでしょう。これによって、単なる『皇族数の確保』ではなく、本来の『長子・女性・女系』という皇位継承の根本的な議論に立ち返ることができます。それこそが、安定した皇室の未来を築く正しい選択ではないでしょうか」
重大な岐路に、今まさに立っているーー。

















