6月19日に公開された映画『黒牢城』(公式Xより)
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 大河ドラマ『軍師官兵衛』などで時代考証を務めた経験もある歴史学者の小和田哲男氏に、史実における“軍師のリアル”について聞いてみた。

軍師には大きく分けて二つのタイプがあります。一つは占いや祈祷を行う『呪術者型』、もう一つは外交や作戦立案を担う『参謀型』です。家臣同士の対立を調整したり、裏切りが起きないようにすることも、重要な仕事でした

 活躍の場は戦場だけでなく、組織そのものを支える役割も担っていた。家臣の中の裏切り者をズバリ言い当てる、とまではいかないが、調べるといった地道な仕事もあった。よく描かれる戦場での軍師はどんな様子だったのか。

部下として上司のために務め上げる仕事

「軍師というと、主君の横で次々と策を授ける姿から、まるで戦を動かす中心人物のようにも見えますが、戦国大名本人は全能の人間ではありません。それぞれの分野に能力を持つ者がいるので、それらを軍師として招くのです。複数人いれば、当然意見の相違も出てきますので、“軍評定“と呼ばれる会議で議論を行い、最後は戦国大名本人が決断します」(小和田氏、以下同)

 右腕として暗躍するというイメージよりは、1人の部下として上司のために務め上げる仕事として、パワーバランスがはっきりしている。いわゆるスペシャリストといえそうな仕事だが、軍師になるための条件はあるのだろうか。

「主君が家臣との会話の中で“兵法の知識があるな”“頼りになりそうだな”と思えば抜擢することもありました。家柄はそれほど重視されなかったといいます。

 軍師は個人の能力による部分が大きく、軍師の子が軍師になる例はあまりありません。一方で、兵法や天文などを学んだ足利学校の卒業生が軍師に抜擢されるケースもあるのです」

 戦国大名たちが求めたのは、特別な天才ではなく、自分たちの土台を固めるチームメンバーでありマルチタスクを担う部下だった。

 人知れない軍師の苦労にも注目しながら作品を見ると、また違った楽しみ方ができそうだ。