皇族数確保に関する「立法府の総意」
6月10日、衆参両院の議長、副議長が皇族数確保に関する「立法府の総意」を与野党の全体会議で取りまとめ、高市早苗首相に提出した。
1.女性皇族が結婚後も身分を保持する案、2.旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える案、の法制化を政府に求めた。
特に、養子案は1947年に皇籍を離脱した旧11宮家の男系男子を対象とし、1.養子の年齢や養親の範囲、2.養子自身は皇位継承の対象者とならないなどの点について、「慎重に制度設計を行う」ことを要請した。必要に応じて一定年数ごとの見直しも盛り込んだ。
悠仁さまが生まれる前年の2005年11月、皇位継承のあり方を検討してきた小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は、皇位継承者を「男系男子」に限るとする皇室典範を見直し、女性天皇と母方だけに天皇の血筋を引く女系天皇を容認した。
さらに、皇位継承順位は男女にかかわらず、天皇の第1子を優先するなどとの報告書をまとめた。約20年前の報告書で、旧皇族の復帰案については《国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である》などと結論づけている。その大きな理由として、以下のように記述している。
《旧皇族は、既に60年近く(報告書のまま、筆者注)一般国民として過ごしており、また、今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の方々であることを考えると、これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される。皇族として親しまれていることが過去のどの時代よりも重要な意味を持つ象徴天皇の制度の下では、このような方策につき国民の理解と支持を得ることは難しいと考えられる》
佳子さまや弟の悠仁さま、それに、両陛下の長女、愛子さまにしても、国民は生まれたときから知っている。幼稚園、小学校、中学、高校、大学と、その成長する過程をつぶさに見てきている。
無事に進学や卒業をすれば喜び、不登校だと報道されれば心配する。多くの国民はまるでわが子のように、佳子さまや悠仁さま、愛子さまの成長に一喜一憂してきたのではなかっただろうか。佳子さまたちもまた、皇室に生まれたことで一般国民とは違う覚悟を持つのである。
さらに両親に教えられ、その背中を見ながら「皇族とは何か」を生まれたときから学ぶ。国民もまた佳子さまたちを温かく見守り、時には励ましながら、立派な皇族に育て上げるのだ。
《皇族として親しまれていることが過去のどの時代よりも重要な意味を持つ》という、報告書の指摘はまさにこのことである。皇族として生まれ、成長するプロセスを私たちがよく知っていることが重要であり、名前も顔も知らない「男系男子」が突然、皇族として私たちの前に現れたとしても、国民はもとより本人も大いに困るであろう。
皇室典範改正の拙速な議論だけは、禁物である。
<文/江森敬治>


















