時間と快適さが最優先に
SNS上の「涼しい家で見たい」という声にも当てはまる、「タイパ(時間対効果)重視の『快適・安全』投資」も特徴の一つだ。
「かつての『何時間も並んで汗だくになり、混雑に揉まれるのが醍醐味』という価値観は薄れ、『いかにストレスなく快適に楽しむか』が重視されるようになっています。
混雑を避けるための優先入場パスや有料観覧席の確保、あるいは移動疲労や熱中症リスクを回避して自宅で快適に配信を観ることも、すべて『快適さ』という価値に対するタイパ消費の一環といえます」
また、原田氏は「プロセス共有型・タイムライン(TL)消費」にも着目している。前日の準備から、帰宅後の配信見逃し視聴・切り抜き動画の拡散まで、一連のプロセス全体を楽しむ傾向があるという。
「『現地でしか味わえない熱量(非日常感)』をリアルタイムでSNSに投稿して承認欲求を満たす行動(TL映え)と、現地に行けなくても『XやYouTubeコメント欄でみんなと実況しながら観る』というオンライン上の現場感を楽しむ行動が並行して起きています」
このようにリアルとオンラインが共存する今年の夏の風景だが、今後の両者の関係性について、原田さんは次のように予測する。
「僕はオンライン配信に潮目がきてしまうように思います。AIでなんでも好きな画像や動画が作れてしまうので、『行かなきゃ見られなかったものがスマホで見られて便利だ』という価値が減ってしまう時代になったと思います。
一方、リアルな体験はAIでは体現できないので価値が高まるように思います。ただし、AIで相当な刺激を受けられるようになっているので、単に体験させれば良いだけではなく、想像を超える超体験をさせないといけないと思います」
配信でスマートに楽しむ観客が増える一方で、イベント主催者には「AIを超える超体験を届けねばならない」というプレッシャーが新しくのしかかる。来年の夏、一番汗だくになっているのは、現場のプランナーかもしれない。
現地派も配信派も一長一短。それぞれのスタイルで新しい夏の定番を楽しみたい。


















