20年~30年先には長系長子優先も可能になると思われる
それにもかかわらず、約80年ぶりに一部改正された皇室典範では、男系男子限定主義を貫徹することになりました。そのため、もし皇嗣秋篠宮文仁殿下の長男である悠仁親王が結婚されても男子に恵まれなかった場合、いわゆる旧宮家(すべて伏見宮系)の男系男子の末裔を養子皇族にしておけば、次の代から男子が皇位を継承しうる、という無理を通したことになります。
しかし、その養子皇族と同妃のもとに必ず男子が生まれるとは限りません。ちなみに、戦後まもなく皇籍離脱した当時11あった宮家で、男系男子による相続を継続できているのは半分以下の4家しかなく、その中から15歳以上の男子を養子として何人も出せるのか、はなはだ心もとないといえます。そうであれば、明治以来の無理な制約を改め、皇室典範の第一条を「皇位は、皇統に属する皇族が、これを継承する」と定めるべきです。ただ、その資格を、西洋王室のように男女の別なく「長系長子優先」とすることを直ちに実現することは難しいでしょう。
なぜなら、古代以来の皇位は、大多数が男子皇族により継承されてきた歴史があり、今後も男性のほうが天皇の役割を担いやすいという考えも根強くあるからです。また、女性は妊娠・出産などで公務を休むことも予想されます。しかし、万が一に備えて皇族女子による継承も公認しておく必要があり、20年~30年先には皇室の環境と国民の理解が整えば、長系長子優先も可能になると思われます。
皇女の愛子さまは、皇室典範の制約が続く限り天皇にはなられませんが、今回の改正により結婚後も皇族として皇室に残ることができます。今後、愛子さまが皇族としての役割、つまりご両親を支えられることだけでなく、国内外でのお出ましなどを重ねて国民の理解評価を高められると「なぜあの方が天皇になれないのか」という声、あるいは即、天皇にはなれなくとも、「将来に備えて即位の可能性を広げるべきだ」という声が、早ければ3年、遅くとも5年くらいの間にだんだんと高まってくるのではないでしょうか。
所 功 京都産業大学名誉教授。日本法制史・皇族文化史などを専門とし、近著には『天皇の歴史と法制を見直す』『「天皇学」入門ゼミナール』(共に藤原書店)など


















