原点は高級スイーツ
雑学2:かき氷の歴史はいつごろ始まり、昔の人はどう楽しんでいたの?
「古くは平安時代中期。氷室から運び、削った氷に煮詰めた樹液をかけた超贅沢品」(和文化研究家・All About「暮らしの歳時記」ガイド 三浦康子さん)
いまや欠かせない夏の風物詩になっているかき氷。その歴史をひもとくと、かつては限られた特権階級しか口にできない超高級スイーツだった。
和文化研究家の三浦康子さんによると、日本最古の記述は平安中期の『枕草子』に登場する「削り氷」だという。
「当時、冬に氷室で保存した氷を、夏に朝廷へ献上する文化があり、削った氷にツルの樹液を煮詰めた蜜『甘葛』をかけたものは、天皇や上級貴族だけが味わえる貴重な贅沢品でした。刃物でかき取った大きな粒でガリッとした食感に、甘みはほのかだったと考えられています」
氷を削って蜜や果汁をかける「氷食」という冷菓が、遣唐使を通じて古代中国から伝わったとされているが、日本の削り氷は氷室文化と結びついて独自の発展を遂げたそう。
「江戸時代になると鋸などで削るシャリシャリした食感へ進化。砂糖の普及により、シロップにはみぞれ(砂糖蜜)や金時(小豆)が登場し、後期には天然氷を運ぶ商売によって庶民にも広まりましたが、当時の価格は現在の数千円相当だったといわれています。
本格的に大衆化したのは、明治時代に人工製氷技術と氷削機が誕生してから。『かき氷』という名称も、氷をかき取る『欠き氷』を語源に明治期に定着しました」
実はかき氷には食べ方やスタイルに地域差があるという。
「シロップを器の底に入れるのが関東(特に東京)の伝統ですが、全国的にはふわふわ氷の普及に伴い、上からかけるのが主流。ご当地文化も多彩で、北海道ではソフトクリーム、名古屋ではフルーツやゼリーをのせたスタイルが人気です。
九州ではガリガリとしたかたい氷が根強く愛され、鹿児島名物『白熊』のように練乳や豆をあしらったかき氷も有名。沖縄では、甘く煮た金時豆の上にかき氷をのせる『ぜんざい』が定番です」
この夏は、長い歴史や地域ごとの文化に思いを馳せながら、ひんやり贅沢なひとときを味わってみては。
取材・文/荒木睦美













