目次
Page 1
ー 健康法としてではなく“たまたま”からスタート
Page 2
ー 「使わない」「食べない」ほうがわかりやすい ー 味覚をリセットして素材のおいしさを感じる
Page 3
ー 素材の味を引き出しおいしく無理なく続ける
Page 4
ー 「無塩・無糖」生活のメリット

 健康のために塩分を控える、甘いものはとりすぎない─高血圧、高血糖を改善する、基本の食生活である。

健康法としてではなく“たまたま”からスタート

《無塩無糖の食生活》78歳現役医師が25年続ける「我慢しない健康術」
《無塩無糖の食生活》78歳現役医師が25年続ける「我慢しない健康術」

 その基本をさらに進化させて実践しているのが、循環器内科医として55年以上診療に携わってきた中尾正一郎先生だ。中尾先生が25年間続けているのは「減らす」のではなく、食塩と砂糖を使わない「無塩・無糖」の食生活。極端な方法にも思えるが、先生自身は「身体が本来の状態に戻っていき、ラクになる感覚がありました」と振り返る。

 実はこの食生活、健康に良いかもという理由で始めたわけではない。きっかけは、単身赴任中に作った野菜炒めだった。調味料が手元になく、塩もしょうゆも使わずに作ってみたところ、「意外とおいしい」と実感。その経験から、少しずつ食塩と砂糖を使わない食生活に移行していったという。

「当時は、周囲の医師から『極端すぎるのでは』『反対に身体に良くないのでは』と心配されることもありました。そのため約17年間はほとんど公表せず、自身の身体の変化を静かに観察してきました」(中尾先生、以下同)

 しかし、年月がたつうちに、この食生活は高血圧や糖尿病のリスクを考えるうえで、大きな意味があるのではないかと思うようになった。

「高血圧と糖尿病は、全身の血管に影響を及ぼす大きな病気です。無塩・無糖を続けた結果、私は『高血圧や糖尿病のない世界』を体験しているのだと気づきました」

 自身の経験や、食事指導を実施して薬が不要になった患者の経過を学会などで発表するようになると、周りの医師たちの反応も変わった。当初は「塩、砂糖をとらなくて本当に大丈夫なのか」といった質問が相次いだが、近年は「どのように患者に指導しているのか」と、実践方法を尋ねる医師が増えたという。

「医学や栄養学は、まだまだ不確かなことも多い。これまでの常識が見直されたりもしています。無塩・無糖の食生活もその一つだと思います」