ただし、夫の財産を勝手に処分したり、違法な方法で情報を入手したりするのは問題だ。通帳や保険証券など、適法に確認できる資料を整理し、必要に応じて専門家に相談したい。次に考えたいのが、毎月の生活を支える収入。

自分の収入源を確保する準備を

離婚を考えているなら、できるだけ早いうちから仕事を始める、勤務時間を増やすなど、自分の収入源を確保する準備をしてほしいですね

 長年専業主婦だった人や短時間勤務を続けてきた人なら、離婚後にどれだけの収入が必要かを具体的に考える必要がある。条件を満たして社会保険に加入し、長く働けば、将来の年金額にも影響する。仕事には、お金以外の意味もあるという。

以前、相談を受けた専業主婦の女性が、外で働き始めたことで離婚の話がなくなったことがありました。職場で自分を必要としてくれる人がいることに気づき、自信がついたことで夫婦関係まで変わったのです

 そして、生活の基盤として見逃せないのが住まいだ。婚姻中に購入したマイホームは、財産分与の対象になることがある。売却して現金を分けるのか、どちらかが住み続けるのか。その前に、家の査定額と住宅ローンの残高を調べる必要がある。

売ったお金でローンを完済できるのか、それとも借金が残るのかによって、その後の選択肢は変わります

 また、夫がローンの契約者のまま家を出て、妻だけが住み続ける場合も注意が必要。夫婦間で返済について約束しても、金融機関との契約上の債務者や連帯保証人が自動的に変わるわけではない。

 固定資産税や修繕費、マンションなら管理費や修繕積立金まで含め、将来も住み続けられるのかを数字で考えたい。

 離婚によって変わるのは、お金や住まいだけではない。寺門さん自身、離婚と同時に、それまで築いてきた人間関係の多くが変わったという。

夫の会社関係の人や、その奥さんたちとの付き合いなど、自然と離れていった人は少なくありませんでした。私は夫のコミュニティーだけで生きていたため、ほぼすべての人間関係を失いました

 夫を介してつながった友人や知人との関係は、離婚をきっかけに変化することがある。趣味や地域活動、仕事など、夫とは別のつながりを持っていることが、離婚後の孤立を防ぐ助けになる。

 夫の親との関係も一律に断ち切る必要はない。子どもがいる場合、離婚後も祖父母と孫の交流が続くケースはある。

 熟年離婚ではその先の老後も現実的な問題だ。離婚後、ひとりで暮らすことになれば、将来、介護が必要になったときにどこで、どのように暮らすのかも考えておきたい。

 子どもがいても必ず頼れるとは限らないため、介護サービスや施設利用も含めて、必要なお金を見積もる必要がある。

 相続についても状況が大きく変わる。離婚が成立すれば、元夫婦は互いの法定相続人ではなくなり、一方で離婚しても子どもとの親子関係は変わらないため、子どもは父母双方の相続人となる。