人間関係が複雑になるため誰に財産を残したいのかという希望があるなら、遺言書の作成も選択肢に入れておこう。
寺門さんが強調するのは、離婚するかどうかを決める前に、まず生活の条件を具体的に確認することだ。
「夫が悪い、自分が正しいという感情だけで結論をいきなり出さず、離婚した場合の生活を一度、シミュレーションしてみましょう。そのうえで離婚するのか、関係を続けるのかを落ち着いて判断してほしいですね。熟年離婚はそこができるかできないかで、損する人、得する人の差が決定的に開きます」
熟年離婚を見据えた6つの備え
年金
「夫の年金の半分をもらえる」と思いがちだが、それは間違い。離婚時に年金分割されるのは婚姻期間中の厚生年金のみ。年金受給のベースになる標準報酬月額の記録分が分割される。自身での備えは不可欠。
キャリア
低収入の場合、離婚後に経済的な困窮に陥る可能性も。正社員など、安定した収入が得られ、社会保険に加入できる働き方を目指したい。厚生年金に加入して長く働けば、老後の年金額を増やせることも。
介護
熟年離婚は、おひとりさまで老後を迎える可能性も。子どもがいない場合など、介護が必要になったときに身近に頼れる人がいないということも。自身が望む介護のあり方を考え、早めに準備を進めておきたい。
住まい
マイホーム(不動産)も財産分与の対象。査定額から住宅ローン残高を差し引いた実質的な価値を夫婦で分ける。金額がプラスなら売却して折半できるが、ローンの残高があれば清算しないと売却できない。
人間関係
夫の会社仲間、友人・知人の奥さんなどとの人間関係は、離婚と同時に一気に失うことになりかねない。夫のコミュニティーだけではなく、自身のコミュニティーをつくってそこで人間関係を築いておきたい。
相続
相続も介護と同様。おひとりさまの場合、将来の資産管理や死後の財産についても考えておきたい。法定相続人がいなければ、遺産が最終的に国庫に帰属することも。希望があれば遺言書の作成など早めの準備を。
取材・文/百瀬康司
寺門美和子さん 1965年生まれ。お金と終活、相続、夫婦問題の専門家。自身も離婚をしたのち、夫婦問題カウンセラー、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、開業。著書に『熟年離婚 女性がお金で損をしない本』(河出書房新社)など。













