そして、仲代さんの素顔を知るうえで欠かせないのが、半世紀にわたって通い続けた横浜市内の和食店「味の道 すだち」。
「仲代さんには、主人が六本木のお店で修業していたころから可愛がっていただき、横浜で開業してからも、頻繁に顔を出してくださいました」
そう振り返るのは、店主の木村順子さん。店は創業52年目を迎え、仲代さんと店主との付き合いも半世紀近くに及んだという。店内には、仲代さんが店名を揮毫した暖簾が今も大切に飾られている。
「今のお店は移転を重ねて5店舗目になるのですが、暖簾は4店舗目のお祝いにいただいたもの。左下にはサインも入れていただきました」(木村さん、以下同)
「100歳まで頑張りなさいよ」
木村さんが50年にわたる交流の中で感じてきたのは、名優としての威厳よりも飾らない人柄だった。
「日本を代表する役者さんですが、偉そうにすることはいっさいなく、真摯な方でした。ほかのお客さんに気さくにサインをしてくださることもありました」
最後に店を訪れたのは、亡くなるおよそ3か月前だった。
「その日は“100歳まで頑張りなさいよ”と声をかけてくださいました。私が“(お互いに)この分だと100歳まで大丈夫ですね”と言うと“僕も大丈夫だと思うんだよね”とおっしゃって。それが最後になりました……」
仲代さんが人々に残したものは、今もそれぞれの場所で生き続けている。


















