わが子がスマホでやりとりする「優しい相談相手」。その正体が、性被害をもたらす大人だったら─。10代の子どもを持つ親にとって、人ごとでは済まされない。
「自分もいじめを受けてきたから気持ちはわかる」
いじめに悩む当時10歳の少女に、そう声をかけた20代の男。9月30日に開かれた東京地裁での論告求刑の公判では不同意わいせつ、性的姿態等撮影、児童ポルノ法違反の罪に問われた男の相談相手の立場につけ込む経緯が明らかになった。判決は12月3日に下される。
少女がLINEを始めたのは小学生になったとき。留守番の際に母や祖母とやりとりする手段として使い始めた。しかし学校で「LINEのトラブルが多い」という話があり、一度はLINEをやめたものの、母親が体調不良で入院することになり、入院中の連絡手段として復活させたばかりだった。
子どもがSNSで被害に
被害少女と男はSNSの趣味コミュニティーで接点を持ったという。ある程度親しくなってから、少女の悩みを聞き出し、いじめの相談に乗るようになっていく。男は「自分もいじめを受けてきたから気持ちがわかる」などとメッセージを送った。
そして、少女のLINEの連絡先を聞き出すと、次第に性的なメッセージも送るように。裸の写真などを要求し、「このことは親に言ったらダメだよ」と口止めまでしていた。
それでも少女は「離れて行っちゃうと悲しがるかな」と男を気遣っていたという。相手の信頼を得て性的な要求に応じさせる、いわゆる「グルーミング」をうかがわせるやりとりだ。
被害が発覚したのは、母親が娘のスマホの料金プランを変更しようとした際、LINEのやりとりを確認した。検察側は拘禁刑2年を求刑したが、弁護側は性犯罪再犯防止プログラムを受けていることなどを挙げ、執行猶予を求めている。
こうした被害に遭っているのは、この少女だけではない。
警察庁の公表資料には、SNSで知り合った13歳の少女に裸の画像を送らせ、拡散すると脅して、さらに性的な動画を要求した男の事件がある。コスプレ撮影を口実にSNSで13歳の少女と知り合い、現金を渡して性的行為に及んだ男の摘発例も。
また、オンラインゲームで知り合った12歳の少年に、SNSを通じて性的な動画を送らせた事件も起きている。女子だけでなく、男子も標的になっているのだ。
では、子どもを守るにはどうすればいいのか。
警察庁は、フィルタリングや、利用状況を管理するペアレンタルコントロールの活用を呼びかける。特に低年齢の子に対する注意としては、ネットで知り合った相手に個人情報や裸の写真を送らない、安易に会わない、会う場合は保護者の了解を得るといったルールも、親子で具体的に話し合っておきたい。
併せて伝えたいのが、「写真を送ってしまっても、あなたを責めない」という言葉。叱られる怖さから、相談できなくなる状況は避けたい。不審な要求があれば、やりとりを消さずに警察へ相談を。スマホの設定とともに、困ったときに頼れる親子関係を整えることも、被害を食い止める備えになる。
取材・文/渋井哲也(ジャーナリスト)



















