『レモンケーキ』が再ブームになるなど、昭和に流行ったものが再注目されている。そこで一世風靡した昭和の玩具の裏側について取材した。
◆ダッコちゃん
1960(昭和35)年発売
‘60 年に、当時の株式会社宝ビニール工業所から180円で発売された空気で膨らませるビニール人形が、若い女性を中心に大ブームを巻き起こした。
「“ダッコちゃん”というのは実は愛称で、正式には『ウィンキー』というんです」(タカラトミーの広報・鈴木寿伸さん)
真っ黒な人形で、両手足は輪状になっており、ちょうどコアラが木にしがみつくポーズをとっている。腕などに抱きつかせることが可能であり、街中でもこの人形をぶら下げて歩く女性が増え始めた。やがてテレビで取り上げられ” ダッコちゃん”という愛称が与えられると、一気にブームに火がついた。
「発売開始から半年間で240万個の爆発的なヒットとなり、当時の社会現象にまでなりました」(前出・鈴木さん)
注文が殺到し、玩具店やデパートでは常に在庫切れとなるほど。簡単な構造であるため当然、偽物も多く出回ったが、おかげでブームは全国に拡大し、累計販売数は600万個に及んだ。
まさに“昭和を代表する玩具”は一時、人権問題で製造販売が停止されたこともあった。だが2001年に『だっこちゃん』の名で、人権に配慮した新しいデザインとコンセプトで復活し色も黒のほかピンクやブルーも用意された。