エアコン、照明、冷蔵庫……わが家の家電品が古くて省エネ型に替えてみたら、電気代が思ったよりもダウン、家計にも大貢献!という経験者は多いはず。ところがここに、家の電気代をダウンどころか一挙ゼロ円にしてしまった女性がいる。東京・国立市在住の藤井智佳子さん(染色織物作家)がその人。

 彼女が電気代を払わないと決意したそもそものきっかけは、4年前の3・11、すなわち東日本大震災とそれに続く福島第一原発事故。停電が相次ぎ、まさに日本中が省エネにまい進する日々だったことはご存じのとおりだが、藤井さんの対応っぷりは徹底していた。ベランダ設置式の小さなソーラー発電機に始まり、太陽熱を集めるソーラー調理器、電気を使わない冷蔵庫、さらにはペダル式の人力発電機……などなど、省エネ・創エネの限りを駆使して、なんと電力会社との契約そのものを3年前からやめてしまった。

 ご自宅を訪ねて何よりすごいと感じるのは、彼女が賃貸アパート暮らしのまま電気代ゼロを実現していること。大きな家なら、屋根にソーラーパネルを取り付けて、今どき電気代ゼロどころか電力会社から売電収入を得ている家庭は珍しくない。ところが彼女の場合、大きな投資はほとんどなく「わが家の省エネ自慢」の延長上で電気代ゼロを実現できている。

今や生活に欠かせないパソコンも、問題なく使える
今や生活に欠かせないパソコンも、問題なく使える

 いい意味でご近所の話題にもなって、交際範囲はむしろ広くなった。生活レベルも、パソコンは普通に使えているし、藤井さんみずからハンドルネームの「ソーラー女子」としてソーシャルメディアできわめて現代的に情報発信している。決してやせ我慢ではなく、楽しいからいくらでも続けている──そんな実感が伝わってきた。

 彼女は下記のWebページで、3・11の「一日非電化」を呼びかけている。「使っていない家電のコンセントを抜くだけでもいいと思います。祈りと未来への希望とともに3・11を過ごしてみませんか?」と藤井さん。電気代ゼロ円生活の動画も公開中だ。

http://www.sloth.gr.jp/movements/311_2015/

(文・佐々木)