hayashizaki

 6月30日午前11時東京発の新大阪行き『のぞみ225号』車内でガソリンをかぶって焼身自殺を図った林崎春生容疑者。 近所の住民や常連のバーのママらに取材をすると、「こんなことをするような人には思えませんでした」「紳士な人でした」と驚きを隠せない様子だった。さらにバーのママは林崎の性格を物語るこんなエピソードを明かしてくれた。

「30年以上も前の話だけど、横浜から逃げてきたという若い女の子が近所のバーに勤めていたんです。その子は誰が父親かわからないけどお腹が大きくなっていてね。それで中絶することになったんだけど、林崎さんは、その子と一緒になって自分がお腹の子の父親になると言い出したんです。きっとその女の子に惚れていたんでしょうね」

 しかし、女の子はお腹の子を中絶したうえ、その後の経過が思わしくなく亡くなることに。それを知った林崎は号泣していたという。そんな一面ものぞかせていた林崎だが、1年前からある不満を口にするようになっていた。

「それまではそんなことを口に出すことはなかったんですが、1年ほど前に仕事を辞めたというときからでした。ご老人はみんなそうだと思いますけど、もらえる年金が少なくて生活が大変だと、よく愚痴っていました」(林崎がよく訪れていた喫茶店の店主)

 林崎が受給していた年金は2か月で24万円、つまり1か月あたり12万円ということになる。

 西荻窪駅から北へ600メートルほど行ったところにある自宅は築47年の老朽化したアパート。間取りは2Kで家賃は4万円弱。そのほかに健康保険料、税金、光熱費などを差し引くと手元にはほとんど残らない、と林崎は不満を漏らしていたという。

「13年ほど前に今のアパートに引っ越してきたそうですが、家賃の滞納は1度もなかったと聞きました。ただ1年前に、大家さんに家賃の支払いを2か月ごとにしてほしいと頼んだそうです」(全国紙記者)

 収入が少なくなって、生活が行き詰まるようになったら、家賃のもう少し安いところへ引っ越すか、田舎へ帰ることを考えなかったのだろうか。

「何十年も西荻に住んでいたので、知り合いも多く、この場所を離れたくなかったんでしょうね」(前出・ママ)

 仕事を辞めて収入が減り、そのため生活が苦しくなり、将来を悲観しての自殺だったのだろうか。仮にそうだとしても、何のかかわりもない他人を巻き込む身勝手な行為は決して許されることではない。