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 長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故は、事故原因がはっきりしないまま1か月半が経過した。教訓として意識したいのは、私たちがよく利用する公共交通機関の怖さ。

 少しでも危険を回避するためには、どの席に座ればいいのか。何に気をつければいいのか。

 タクシーや介護関連施設の送迎ワゴン車に乗車中、事故に遭遇することもある。

 事業者向けに安全教育するNPO法人『交通事故予防センター』(水戸市)の久保田邦夫顧問は言う。

「タクシーの運転手が実車中、携帯電話に出るのは論外。他人の命を預かっているという意識が低すぎます。介護関連施設が送迎に使うワゴン車もよく事故を起こす。一時停止しなかったり、安全確認が不十分だったり。乗っている高齢者は少しの衝撃で大ケガをすることもあるというのに……」

 デイサービスなど介護関連施設を選ぶとき、本人も家族も施設の内容にばかり目が行きがちだ。しかし、送迎車もチェックしてほしいという。

「運転手以外の職員が同乗しない送迎車はおすすめできません。特に医療法人系の施設では、運転手がひとりで乗降介助まで担っているところが目立つ。これはかなり危険です。運転中、認知症の高齢者が窓を開けたり、運転手にちょっかいを出してくることもありますから」(久保田顧問)

 乗用車の場合、いちばん安全な座席はどこか。JAF(日本自動車連盟)の情報誌『JAF Mate』の鳥塚俊洋編集長「運転席の真後ろです」と即答する。

「ただし、車内2列のセダンタイプの場合で、シートベルト着用時という前提条件がつきます。前列はすぐ前がフロントガラスなので、ダッシュボードに身体を打ちつけるかもしれない。後列は前列のシートに守られるかたちになります。事故が迫ったとき、運転手はとっさに自分の身を守る傾向があるため、助手席の後ろよりは運転手の後ろのほうが安全といえます」