沖縄・石垣島の自宅で大麻約55グラムを隠し持っていた疑いで先月、同居人らと逮捕された高樹沙耶被告。今年7月に出馬した参院選では、「医療用大麻の解禁」を訴えていた。

 出馬記者会見では「海外の立証が真実なら、私たちの国で行われていることは、人権侵害にもつながるのではないか」と力説していた。

 選挙期間中に同被告を取材した一般紙社会部記者は、

「医療用大麻の説明ばかり熱心で、周囲はシラケてました」

 結果は落選。その3か月後の10月25日、関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕されるはめになった。

 今年の7月に、討論番組で対峙した元厚生労働省麻薬取締官(通称・麻取)の高濱良次氏は、「テレビに出て、選挙に出るような人が、まさかやっているとは思わなかった」と驚きを隠せない。討論の様子を振り返ってもらった。

元厚労省麻薬取締官の高濱良次さん
元厚労省麻薬取締官の高濱良次さん

「米国のデータを出し、実際に医療用大麻が使用されていると話すが、結局、自分に都合のいいデータしか出さんのです。しかも、そのデータの根拠がしっかりしていない。私とは終始、平行線でした」

 高樹被告の選挙公約とその後の逮捕ですっかり浸透した「医療用大麻」という言葉。厚生労働省に「医療用大麻という薬があるのですか?」などと問い合わせが多数入るようになったという。

 しかし、厚生労働省の監視指導・麻薬対策課は、「医療用大麻というものはありません」ときっぱり否定し、

「違法に売買される大麻は乾燥大麻を小袋に入れて取引するのが基本ですが、海外で医療用として販売されているほとんどが違法に売買されている乾燥大麻と同様の形状です。医薬品とは呼べません」

 と厳しく指摘する。さらに医薬品になりえない理由を次のように説明する。

「有害成分とされるテトラヒドロカンナビノール(以下THC)だけでなく、大麻に含まれるさまざまな成分を摂取することで効果があるとの主張がありますが、植物に含まれる成分は生育の度合いなどで変化します。去年の大麻は効かなくて今年の大麻は効くなんて不安定なものを医薬品として認可できませんよね」