子どもの心のまま成長した真白という女性が、佐藤の身体を通じて生き生きと画面を動き回る。ブサカワな笑顔や泣き顔など、くるくる変わる表情にも心をつかまれる。

「いわゆる知的障がいがないってされている大人だったら、誰かにこう見られたいとか、こうあらねばならないという状態で過ごすと思うんです。でも彼女は誰かに気を使って服を選んでいるわけじゃなくて、好きなものを好きなように着ていて。こだわりがあって、それは好きだからしている。で、働いているわけでもないってなったときに、すごく楽な状態で過ごしている人なんじゃないかなと思いました」

 しかし、ただ純粋なだけではない。真白はいたずらもするし、サボるし、いじわるも言うし、人を小馬鹿にもする。

きれいに演じないようには心がけました。脚本の北川(亜矢子)さんが、“いわゆる障がい者ってこういうこと、みたいな映画って、すごくきれいに、天使みたいにきれいに描くけど、そうじゃない。すごく人間らしい”って。人間臭さは丁寧に台本にも書かれてますし。だからキュートとか、チャーミング、ユニークっていうふうには映りたいけど、つるんつるんでピカピカで美しいものにはならないようにしました」

佐藤みゆき 撮影/森田晃博

不器用な真白の初恋に胸キュン!

 真白は東京からやってきたカメラマンの油井景一(福地祐介)に偶然出会い、恋に落ちる。甘酸っぱく不器用な初恋模様が、あたたかく描かれ、胸がキュンとするシーンがたくさん。

 現場では佐藤をはじめ、相手役の福地、監督の坂本欣弘、脚本の北川が、男女双方の立場から意見交換しながら、納得のいくリアルなシーンに整えていったのだという。特に美しい富山の海を前に、カメラを構えた真白と油井の手が重なり合うシーンは、ドキドキが止まらない! 佐藤自身が一番キュンとする場面を聞くと、

「私は自転車の二人乗りの、微妙な距離の詰め方です。最初から(油井に)つかまれよって言われているのに真白さんはつかまらない。つかまっちゃったけど、つかみすぎな気がするとか。すごい真白さんっぽい。あのときはまだ恋までは発展してないと思うんですけど、完全に男の人と認識しているから。“ちょいドキ”がいいですね(笑)」