「睡眠・覚醒リズム」を把握する

 睡眠・覚醒リズムとは、脳にたまる睡眠物質がつくるリズム。脳は睡眠物質が充満すると眠気を出し、脳自体を眠らせて睡眠物質を分解する。

眠気が出る時間帯は1日に2回あります。起床から8時間後と22時間後です

 ランチのあとは眠くなりがちだが、それはお腹がいっぱいになったせいばかりではなく、脳のメカニズムの影響でもあるのだ。

「起床が6時の人なら、まず必ず眠くなるのが8時間後の午後2時。でも、ここでウトウトすると夜の眠りに差し支え、睡眠・覚醒リズムは乱れがちになります」

 そこで菅原さんは、眠気が出る前の仮眠をすすめる。

起床から6~7時間後、6時起床の人ならお昼休みの時間帯にちょっと目を閉じる。必ずしも実際に眠る必要はありません。目から入ってくる情報は非常に多いので、目を閉じているだけでも脳は休息できます

 ちなみに、休日に昼過ぎまで寝ているなど“寝だめ”をするのも、睡眠・覚醒リズムを乱す要因に。『スリープクリニック銀座』の院長で睡眠障害に詳しい渋井佳代先生は、

睡眠時間帯の普段との差は前後1時間以内にとどめ、できれば早寝をして調整するほうがいい」

「深部体温リズム」を味方につける

 3つのリズムのうち睡眠の質にいちばん影響が大きいのが、深部体温リズムだ。深部体温とは、内臓の温度のこと。1日のうちで変動し、高い温度から急激に下がるときに睡眠は深くなる。

「最も上がるのは、起床から11時間後。深部体温が高くなり元気が出る夕方に身体を動かしましょう。そうして深部体温を上げておき、急激に下がるタイミングで寝床に入れば、その晩の睡眠は充実します」

 眠り始めの90分に最も多く、3時間まで分泌される成長ホルモンも、睡眠が深いほど増える。

「成長ホルモンは、睡眠中の身体を回復させる役割があります。分泌量が多いほど、ぐっすり眠って翌朝パッと起きられるんですよ」