さて、そんな「誰だかわからない人からつり上げにあっているかも……」という不安を解消してくれたのが『Yahoo!オークション(現:ヤフオク!)』である。

 このウェブサービス上で出品、もしくは一定額以上の入札をするためにはプレミアム会員登録をしなくてはならない。そして、プレミアム登録をする際に本人確認が必要になる。つまり、出品者や購入者の身元がしっかりと明かされるのだ。

 しかし、不思議なもので「5万円予算」と事前に決めて競っていても、気づいたら8万円で購入していた……ということが起こる。それはなぜか。

 登録時に取得するオークションIDで、だいたいの担当(編注:ジャニーズでお気に入りのメンバーやグループのこと)がわかり「同担には負けたくない……」という競争心からついつい「あと千円くらい……」とどんどんと値段がつり上がっていく。

 このあたりから転売されるチケットの値段も高騰していったように思う。

 そして、さらに問題が出てくる。オークションに入札すると終了時間が10分延長されてしまうのだ。最終入札が行われて10分間誰も入札しなければよいのだが、欲しいチケットが手に入るのはだいたい丑三つ時。そこから支払い手続きや取引メールなどを行う。

 条件の良いチケットを入手できたとしても、睡眠時間が削られ、疲弊したままコンサートに向かうという経験をしたジャニヲタも多いはずだ。

時代は「チケ流」から「チケキャン」へ

 そんな中、2008年あたりから流行り出したサイトが『チケット流通センター(通称:チケ流)』。このウェブサービスでは、掲載された価格ですぐに購入できる“即決スタイル”をとる。面倒な入札終了の待ち時間もなく非常に便利なのだ。

 また、『ヤフオク!』と違ってID表示がないので、誰が出品し、誰が購入したかが第三者にはわからないため余計な感情に気を取られない。

 しかし、質問欄がないため座席番号を絞ってもらうことなどはできない。あまり細かく座席番号を書いて出品すると、『ジャニーズファミリークラブ(編注:通称ファミクラ、ジャニーズタレントの公式ファンクラブの母体となる組織のこと)』にチェックされてしまうおそれがあるのだ。

 こだわりの強いジャニヲタは好きなタレント(担当)の立ち位置も気にする。「上手サイドなら欲しい……」などの思いはあれども、買ってみないとわからない“くじ引き”のような感じであった。

 その問題までも解消したのが現在CMでも見かける『チケットキャンプ(通称:チケキャン)』である。こちらも“即決スタイル”であり、質問欄もある。また『チケ流』よりも出品が簡単で、出品文言のテンプレートまで用意されているのだ。

 さらに売った金額の振り込みも手続きすれば即日入金も可能であり、今のところ、最強のサイトといえる。2017年現在、『チケキャン』が主流になりつつある。